チャイルド・プロテクション・ポリシー
認定NPO法人国際子ども権利センター(以下 シーライツ)は、そのビジョン、ミッション、および国連子どもの権利条約に基づき、権利侵害に遭っている子ども、権利侵害に遭う可能性のある子どもへの支援活動をしています。
このチャイルド・プロテクション・ポリシーは、シーライツの価値観や原則、信念を説明し、子どもを保護するために、私たちの共通の理念に応じた措置を示すものです。
このポリシーは、2009年6月にシーライツ理事会にて採択、その後、2010年1月に最終版が確定されました。
実施
このチャイルド・プロテクション・ポリシーの適用対象は:
- シーライツスタッフ(国内外採用すべてのスタッフ、およびインターン)
- シーライツ理事
- シーライツ関係者(会員、支援者、パートナー団体スタッフなど、シーライツの活動に関与する人)
シーライツの責任は、以下にあります
- シーライツのスタッフ、理事、関係者のチャイルド・プロテクション・ポリシー実施の遵守
- チャイルド・プロテクション・ポリシーの効果的な実施のための、チャイルド・プロテクション・ポリシーの定期的な見直しと必要に応じた更新
- 防止:啓発活動や実践を通して、スタッフや理事、その他の関係者(ボランティア、パートナー団体、訪問者を含む)が子どもへ及ぼす人権侵害のリスクを最小限にすること
- 意識:スタッフや理事、その他の関係者が、児童虐待の問題や、子どもへのリスクに関する意識を高めること
- 報告:スタッフや理事、その他の関係者が、子どもの安全が脅かされていると懸念される状況に直面した際に、とるべき措置について明確に理解すること
- 対応:虐待や子どもの権利侵害の可能性が疑われる場合に、子どもをサポートし保護するために、適切な措置が取られるようにすること
【身体的虐待】
- 子どもを叩いたり、物を投げつけたり、身体的な暴行を加えたりするなど、身体的虐待(あらゆる身体的暴力を含む)をする。
【性的虐待】
- 現地の文化や慣習の文脈で不適切な愛撫、キス、抱擁をする。また、子どもと身体的、性的な関係をもつ。
- 活動の対象となっている子どもと、同じ部屋・ベッドで寝る。
- 子どもが嫌がるような触り方をする。
- 性的な目で見たり、卑猥な言葉を投げかける。
- 自分の性器を見せたり、触らせたりする。
- 子どもが性の対象となるような写真を撮ったり、絵を描いたりする。
【精神的虐待】
- 不適切、侮辱的、かつ暴力的な言葉を使ったり、提案をしたりする。
- 子どもに恥をかかせたり、貶めたりするなど、精神的な虐待をする。
- 子どもの家族、友人、知りあいなど子どもと近しい人を侮辱、または脅迫する発言をし、子どもの心を傷つける。
- 特定の子どもを意図的に無視したり、話しかけなかったりする。
【ネグレクト】
- 子どもが病気やケガをしたときに必要とされる手当てを故意に怠る。
- 活動中に子どもの身体的・精神的安全の確保を怠る。
【その他】
- 虐待行為や虐待が起こりうる状況に子どもを陥れるような行動をとる。
- 代表理事、副代表理事、事務局長など管理職役員の監視下(管理職役員はスタッフ責任者の監視を受ける)でない状況下で、子どもの家に滞在する。
- 他の子どもから離れて、特定の子ども、または、子どもたちと長時間にわたって時間を共にする。ただし、調査などの必要のある場合で、事務局長や代表理事に事前に承認を得ている場合を除く。
- 代表理事、事務局長の許可なく、子どもを自宅やホテルなどプライベートな場所へ連れて行く。(代表理事、事務局長はスタッフ責任者の許可なく同様の行為をしてはならない。)
- 差別したり、特定の子どものみを可愛がったりする。
子どもと接触のある、すべてのスタッフ、理事、会員が配慮すること
- 常に、自分の行動が子どもを傷つける、あるいは、性的虐待ととられる行動をとる可能性があることに十分に配慮する。
- 常に、リスクを最小限にするために、業務の計画と運営を心がける。
- 可能な限り、大勢の目に見えるところでの業務の遂行を心がける。
- スタッフや他の人との接触について、子どもたちに話をし、いつでも懸念があればそれを提起できることを伝える。
- 子どもへのエンパワーメント--子どもと彼らの権利について話し合う、何が許され、許されないのか、について、また問題があった時に、どう対応するかについて、話し合う。
- 可能な限り、子どもの言葉に耳を傾け、表現していることを感じようとする。
- 子どもの写真を撮るときは、事前に子どもに許可を得る。また、写真をホームページやブログに掲載する可能性があるときは、そのリスクについて事前に説明を行ったうえで、掲載の了解を子どもから得る。実際に写真をホームページ、ブログに掲載する際には、子どもの保護者へもリスクに対する説明を行い、了解を得る。特にインターネットに悪用されて掲載される可能性のあるときは最大限配慮する。
- 適切な服装を心がける。
- 子どもの過去の経験についてむやみに質問しない。調査などで必要な場合、事務局長や代表理事の許可を得ている場合は除く。
- 施設などへの訪問時、訪問時間をその団体に明確にし、許可なく施設に立ち入らない。
子ども参加の事業を実施するスタッフ、理事、会員の義務
- シーライツの文書「子ども参加に取り組むときに注意すること」をよく読み、子ども参加の事業を実施できる組織体制を築く。具体的には、子ども観の共有、子ども参加の位置づけと目的、子どもが関わる(関わることのできる)範囲、スタッフの役割、意思決定の手続きなどをはっきりさせる。
- 開発途上国で子ども参加の事業を実施するときは、JANIC 発行の「子ども参加ガイドライン」などを参考にする。
すべてのスタッフ、理事、会員の義務
- 子どもが危険な状態にあると判断した場合、また、疑わしいケースを目撃した場合、調査のために関係団体、および、シーライツ理事会に報告する。
参考
関連する子どもの権利条約条文
子どもにかかわるすべての活動において、その活動が公的もしくは私的な社会福祉機関、裁判所、行政機関または立法機関によってなされたかどうかにかかわらず、子どもの最善の利益が第一次的に考慮される。(国連子どもの権利条約第3 条:子どもの最善の利益)
締結国は、(両)親、法定保護者または子どもの養育をする他の者による子どもの養育中に、あらゆる形態の身体的または精神的な暴力、侵害または虐待、放任または怠慢な取扱い、性的虐待を含む不当な取扱いまたは搾取から子どもを保護するためにあらゆる適当な立法上、行政上、社会上および教育上の措置をとる。(同上:第19条:親による虐待・放任・搾取からの保護)
子どもが、経済的搾取から保護される権利、および、危険があり、その教育を妨げ、あるいはその健康または身体的、心理的、精神的、道徳的もしくは社会的発達にとって有害なるおそれのあるいかなる労働に就くことからも保護される権利を認める。(同上:第32条 :経済的搾取・有害労働からの保護)
あらゆる形態の性的搾取および性的虐待から子どもを保護することを約束する。これらの目的のため、締約国は、とくに次のことを防止するためのあらゆる適当な国内、二国間および多数国間の措置をとる。(同上:第34条:性的搾取・虐待からの保護)
子どもの福祉のいずれかの側面にとって有害となる他のあらゆる形態の搾取から子どもを保護する。(同上:第36条:他のあらゆる形態の搾取からの保護)