カンボジアだより
2009年11月18日
こんにちは、長島です。先日2回にわたって、ベルギー人が少年を性的搾取した罪で服役し、出所後にその被害者の少年の母親と結婚し、一緒に生活をしていた記事をご紹介しました。9月末に、カンボジア・デイリー紙に、男性が国外追放されたことが報じられ、ボランティアの方が記事を翻訳してくださったので、その続報としてお伝えします。
NGOの抗議に対し、政府の関係者からは国外追放は不可能との見解が出ていたにも関わらず、最終的に追放が実現したことは、非常に嬉しい結果です。しかし、この追放で被害を受けた少年の心の傷が消えるわけではなく、まずは被害を出さないようにする「防止活動」の重要さを痛感します。
関連記事は下記リンクをご参照ください。
■子どもに性的虐待をした元受刑者、被害者少年の母親と結婚か(10月6日掲載)
http://www.c-rights.org/2009/10/post-67.html
■NGO、子どもに性的虐待したベルギー人の国外追放を請願(10月30日掲載)
http://www.c-rights.org/2009/10/ngo.html
子どもの性的搾取をなくすためにご支援ください。
詳しくは、http://www.c-rights.org/join/donation.html
写真は子どもの性的搾取に取り組むNGO・APLEの報告書「“Street Pedophilia” in Cambodia」より cAPLE
子どもへの性的虐待で前科二犯のベルギー人、国外追放
カンボジア・デイリー紙 2009年9月23日
プラック・チャン・トゥル記者
出所:’Twice-Convicted Belgian Pedophile Deported‘ Cambodia Daily 23 September, 2009
当局によると、昨日、警察は子どもへの性的虐待で2回有罪判決を受けているベルギー人のフィリップ・デザールを国外退去させ、子ども保護のNGOグループによる数ヶ月に及ぶ国外追放活動は功を奏したかたちとなって幕を閉じた。
国家警察のスポークスマンであるカース・チャンタラリッス氏によると、デザール(49歳)は2006年に犯した13歳カンボジア人少年への性的虐待の罪で3年の刑に服した後、今年4月に釈放され、先週国外追放となったのだが、正確な日付はわからないとのことである。
子ども保護NGOグループは、デザールが釈放直後、被害を受けた少年の住むバンテアイ・メアンチェイ州に移住し、その少年の母親と婚姻関係までも結んだことに対し、憤りを表明していた。デザールは90年代に母国ベルギーで子どもに対するレイプ及び虐待の罪で3年服役している。
「我々には十分な法的根拠があった。デザールは元受刑者で、入国管理法によれば、服役経験のある者のカンボジア在留は認められていない」とチャンタラリッス氏は話している。
「警察はデザールをベルギーに送還するというのではなく、ただ国外追放すべきであると判断した。その後どこへ行くかを決める権利は本人にある」と話す。
デザールの弁護士トゥン・ヴィボル氏は、警察の強制追放は「市民権侵害」であるとし、子ども保護NGOグループの懸念を憶測にしかすぎないとしている。
「デザール氏が夫人と一緒であったところに警察官が来て、国家機関から強制退去の命令が下されているとして地元警察署に出頭するよう命じたのです」と弁護士は説明し、警察がデザールをプノンペン国際空港へ移送し、外国行きの便に乗せたと話す。
「デザール氏はタイに到着後、私に電話で何も所持していないと言い、警察がカンボジアの法を遵守していないと話した」とヴィボル氏は述べている。
ヴィボル氏は、デザールは家族がカンボジアにいるので戻ることを希望していると付け加えた。
8月4日に国外追放嘆願請求を起こした7団体の1つである” Action Pour Les Enfants(APLE=子どものための活動)は、警察の行動を歓迎している。「カンボジアはなすべきことをした」とAPLEカンボジア事務所サムレアン・セイラ所長はコメントしている。
(翻訳・NY翻訳グループ 2009年10月23日)