カンボジアだより
2009年10月2日
甲斐田です。
先日、お伝えしたように、カンボジアでは昨年、日本人男性が子どもポルノの罪で逮捕される事件が起きました。この事件に対して判決が出たという記事をボランティアの方に訳していただきましたので、ご紹介します。
子どもポルノに関する情報は限られていて、実際は何件くらいの事件がカンボジアで発生しているのかを把握することは不可能ですが、ブログに掲載されることもあり、少なくない数の子供たちが被害にあっていることは確かです。
記事の最後には、このように加害者に判決が出るのは、カンボジア政府が本気で処罰していこう姿勢の表れだとしていますが、判決による損害賠償金額はあまりにも低いものです。
取締りが弱く、わずかなお金で子どもを利用できるという理由で、カンボジアやその他の国で日本人が子どもを性的搾取しに旅行するのは、人権の観点からも倫理的にも容認しがたい問題です。
日本から海外に子どもを搾取しに出かける「子どもセックスツアー child sex tourism(注)」に対しては、シーライツとしてこれまでも反対してきましたが、もっと大きな効果的な運動にするにはどのようにすればいいか考えていきたいと思います。そのためにも、ひとりでも多くのみなさんが運動に参加してくださることを願っています。
(注)Child Sex Tourismをなくしていこうとする運動は1990年代から世界的に広がっています。詳しくは、シーライツ発行「ブラジル会議報告書」(700円)をご覧ください。
写真は子どもセックスツアーをなくす活動をASEAN諸国で実施しているオーストラリアのNGO、Child Wiseが作成したポスター。cChild Wise
子どもの性的搾取をなくすためにご支援ください。
詳しくは、http://www.c-rights.org/join/donation.html
子どもポルノの罪で日本人男性に有罪判決
カンボジアデイリー紙 2009年7月11-17日 ウィークリー・レビュー
プラック・チャン・トゥル記者
キム・エング裁判長によれば、プレア・シハヌーク市裁判所は、少年7人の裸の写真を撮影したとして、日本国籍中川俊一被告(32歳)に懲役6年の判決を下した。
エング裁判長は、2日にわたる公判で同被告に子どもポルノ製作に係る罪で有罪判決を言い渡したほか、被害者の少年(11歳から15歳)一人につき50万リエル(125米国ドル相当)の賠償金支払い命令を下したことを明らかにした。
被告は全面的に起訴事実を認め、少年がきれいだったため、個人的鑑賞のために撮影しただけだと主張しているという。公判では少年7人が揃って中川被告の関与を証言した。
地域住民は昨年8月17日に中川被告がオートレスビーチ付近で少年たちの裸を撮影し、2~5米国ドルをそれぞれに支払っているのを目撃し、これを警察に通報した。
警察によると、中川被告は自身が製作中の本のモデルとして少年たちを撮影したと主張していた。
子どもの性的搾取の問題に取り組むNGO「Action Pour Les Enfants(子どものための活動、以下APLE)」のペン・マネッス氏は、被害者の代理人として、少年たちの母親らが賠償金額を不服とし、上訴する意向であることを伝えた。
「少年の被った被害の大きさに比べ、一人あたり50万リエルはあまりにも不十分」とマネッス氏は述べている。
APLE カンボジア事務所サムレアング・セイラ代表によれば、中川被告は昨年改正人身売買取締法が施行されて以降、子どもポルノに係る罪で有罪判決を受けた初の外国人となる。
「本事件は、カンボジアが子どもポルノの製造及び提供行為を本気で罰するようになったことを示している」と同氏は述べている。
(翻訳・植田あき恵 2009年8月6日)