お知らせ

買春の被害にあった少女たちを救出 ~ソマリーさん記事その1

カンボジアだより

2009年09月15日

 

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こんにちは。甲斐田です。

ボイス・オブ・アメリカ(カンボジア語ラジオ放送)のウェブサイトに掲載されたソマリー・マムさん(シーライツが支援するアフェシップの創設者)に関する記事を会員の小味さんが訳してくださったのでご紹介します。

先日、アフェシップのHIV/エイズ教育の担当スタッフに同行して、セックスワーカーの女性たちに会ったのですが、ピアエデュケーター(同じ仕事、状況をもつ仲間に教育をする人のこと。ほとんどがボランティア)の女性が誇りをもって活動をしている姿に胸を打たれました。

昨年、制定された新しい人身売買禁止法がセックスワーカーの女性たちに及ぼしている影響、人身売買の被害にあった少女たちの置かれている状況、アフェシップの活動、少女たちに対するソマリーさんの思いをみなさんに知っていただければと思います。

写真はHIV/エイズ教育を行うソマリーさんの様子です。
cAFESIP

子ども買春をなくすための活動を支援してください。詳しくは、www.c-rights.org

セックスワーカーの救出、そして保護

Rescued Sex Workers Find Refuge
By Ker Yann, VOA Khmer
2009年5月21日

カー・ヤン VOAクメール(*Voice Of Americaカンボジア語放送)
出典:http://www.voanews.com/Khmer/archive/2009-05/2009-05-21-voa1.cfm

 プノンペンのセックスワーカーはプノンペンの路上でも客をとっている。大規模な不法性産業を規制する近年のカンボジア警察当局の努力にも関わらず、このビジネスは盛んになる一方だ。閉鎖される買春宿がある一方、新たに違法な宿が営業を始めている。 カンボジアの法律では、売春は違法と明確に定義されていないが、性産業に難色を示す当局により、定期的に路上摘発が実施されている(訳注:公共の場での客引きは違法行為であるため)。カンボジアでは毎年、何百人もの少女たちが人身売買業者に誘拐され、買春宿に売られている。彼女たちの多くは長年の精神的・肉体的苦痛に耐え、1日に20人以上もの客を取らされる。

 同時に、セックスワーカーの増加は、ビアガーデンやカラオケクラブやバーにまで及んでいる。「バーガール」と呼ばれる女性たちの中には、貧困から脱却するためにセックスワークを選ぶ人たちもいるが、買春宿を拠点としたセックスワーカーの大多数は人身売買の被害者だ。

 自身も人身売買の被害者であったソマリー・マムが設立した団体(AFESIPアフェシップ)は、人身売買の被害者の救出と社会復帰を支援している。マムは、カンボジアの大規模な人身売買に関わる組織だった犯罪ネットワークや公務員の汚職を非難する。「犯罪組織のネットワークにより、人身売買のシステムが構築されました。ブローカーは村から村へ少女を探しに行く。結婚ということで連れ出したり、プノンペンで高収入のいい仕事があると約束したりして、少女達をそそのかす。被害者の多くは、あまり教育を受けていないので、罠に陥り、都市に来ると、買春宿に閉じ込められるんです。」とマムは話す。

 ソマリー・マムの団体は、1996年の設立以来、カンボジア全土の買春宿から、4千人を越える性的奴隷にさせられた少女や女性たちを救出してきた。現在は3つのセンターで、250人を超える少女たちを保護している。半数以上は18歳以下で、多くの少女たちが長年にわたる買春宿での拷問や虐待に耐えた。
 ヴァン・シナーは、13歳の時にどのようにベトナムから誘い出され、カンボジアの売春宿に閉じ込められたかを泣きながら話す。「何度も叩かれ、多くの客を取らなければならなかった。拒否したら、電気ショックで拷問されるか、辛い唐辛子を食べさせられた。地下室に閉じ込められ、1日に15人から20人の客を取らないと、叩きのめされ、さらに拷問された。」

 ソマリー・マムは、「買春宿は、生き地獄」と自らも耐えた長年の虐待を振り返る。「苛酷な経験や劣悪な状況下で生きなくてはならなくても、あなたが悪いという意味ではないんです。私たちは、自らのおぞましい経験と向き合って、それらを何か前向きなことへと転化しなければならないけれども、自らの身に起こったことを決して忘れることはできず、いつも記憶がよみがえってきます。私たちは多くの犠牲者を救出しなければなりませんが、私たちも彼女らの愛に救われるのです。」

 セックスワークに巻き込まれた女性は、はかりしれない精神的・肉体的な障害を抱える。AIDSやその他の性感染症などと同様に、多くの被害者が心理的にも傷ついている。マ・ライ女医は、ほとんどの少女には長期セラピーが必要と話す。「センターに来るほとんどの少女が深刻な精神障害を抱えています。すぐ怒ったり、頻繁に叫んだり、とにかく死にたがったりします。こうしたとき、彼女たちの体や命は大切な価値あるものだと話して勇気づける定期的なカウンセリングを行なっています。そうしたカウンセリングは非常に多くの時間を要します。」

ソマリー・マムのセンターは、少女たちが新しい友だちをつくり、失った子ども時代を取り戻せるよう愛らしい環境を整えている。精神面と肉体的な傷の両方から癒すように、ソマリー・マムの団体では、さらなる教育と職業訓練を行なっている。

少女たちがセンターを離れた後に就職できるよう、正規クラスに併行して職業訓練も提供されている。しかし、主たる目標は、少女たちが自らの人生に意味を見出すこと、明るい未来を描くことを教えることである。人身売買は、世界で第3位の収益性の高い犯罪ビジネス(profitable)で、今日では大西洋三角貿易(奴隷貿易)時代の最盛時よりも多くの奴隷が存在する。ここにいる少女たちは幸運を掴んだ一握りにすぎず、活動の輪を広げて性産業を撲滅に追い込まなければ、カンボジアや世界中で何千もの少女たちが待ちうける運命から逃れられない。
(翻訳・小味かおる 2009年8月2日)

 

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