カンボジアだより
2014年12月28日
タナオ・コミューンの小学校(3校)と中学校(1校)の各学校で、子どもたちによる選挙で選ばれたピア・エデュケーター(子ども代表)が、シーライツのトレーニングを受けはじめてからちょうど1年がたちました。
これまでのトレーニングでは、自分の意見を主張できるように、また、自分とは異なる立場の意見も理解し、論理的に物事を考えたり話たりできるように、「ディベート(討論)」を取り入れてきました。第1回目のテーマは「子どもが学校に通わない(通えない)のは貧困が原因か、そうではないか」、第2回目は「タナオ・コミューンは子どもたちにとって安全な地域か、そうではないか」、第3回目は「移住(マイグレーション ※出稼ぎを含む)は、子どもたちにとってよいことか、そうではないか」でした。
第4回目は、「子どもは子どもを助けられるかどうか」をテーマに、ディベートを開催しました。地域の子どもたちをチャイルド・フレンドリー・スペース(コミュニティセンター内の多目的ルーム)に招き、集まった子どもたちの前で、ピア・エデュケーターが4名~6名からなる賛成グループと反対グループに分かれ、それぞれのグループで意見をまとめて、発表しました。
賛成グループのメンバーは、「子どもは知識が少ないけれど、その知っている知識を使ってほかの子どもを助けることができる。」「物をあげたり、お金をあげたりできなくても、助けられる方法はある。」「親が教育を十分に受けていなくて
、子どもを学校に通わせていない家庭があったら、自分たちが勉強を手伝ってあげればいい。」と主張しました。
反対グループのメンバーは、「読み書きが満足にできない子どもだっているから、ほかの子どもを助けることはできない。」「子どもは経験が少ないし、知識も少ない。だからどうやって助けたらいいか方法も思いつかないはずだ。」「年下の子どもが年上の子どものところに行って話をしても、話を聞いてもらえない。子どもはほかの子どもが言うことを信じない。」と主張しました。
その後、どちらのグループも活発に質問をしたり反論をして、討論は白熱しました。見守っている子どもたちも真剣に聞いていました。
最後にシーライツのスタッフがフォローアップをして、「『子ども』は一人ではとても小さくて弱い存在だけど、子ども同士が協力し合えば、困っている子どもを助けることができる」とまとめました。
ピア・エデュケーターたちは、このディベートで話合ったことを実現しようと、自分たちにできる範囲で、困っている子どもたちを助けようとしています。例えば、地域の最も貧しい家庭の子どもたちに文房具を贈るための募金活動をはじめました。
このように、ピア・エデュケーターは、この1年でとても頼もしい存在になりました。シーライツは、これから彼女・彼らがもっともっと能力を伸ばしていけるようサポートし、地域全体が子どもたちの活動を温かく見守り、子どもにやさしい社会が実現されるよう働きかけていきます。