カンボジアだより
2009年03月13日
今回は、2月13日にシェムリアップで開催された、日本社会事業大学のワークショップについて紹介します。
「カンボジア子どもとの仕事―現実、可能性と夢」と題したワークショップがシェムリアップのアンコール・クラウ村コミュニティセンターにて、開催されました。このワークショップには、日本社会事業大学教授と学生、カンボジアで活動をする5つのNGO、社会福祉省職員、クラウ村村長、カンボジア現地NGOスタッフ数名が参加しました。
午前中は参加した各団体(CYK,国境なき子どもたち、シーライツ、スナダイクマエ、アンコール遺跡の保存と周辺地域の持続的発展のための人材養成支援機構JST)の活動紹介でした。
以下、シーライツの活動紹介です。
シーライツとは?:1992年に大阪で設立され、アジア現地の3つのNGOと連携して、国連子どもの権利条約の理念に基づきながら、子どもの権利の普及活動、啓発活動、支援活動、また、人身売買、性的搾取、児童労働といった権利侵害の防止活動を行ってきました。今現在活動をしている国は、日本、カンボジア、インドで、現地事務所を構えているのは日本とカンボジアです。
シーライツ日本での活動:子どもの権利や、子どもの商業的性的搾取に関する勉強会、セミナー、講座の開催をしています。
シーライツカンボジアでの活動:現地の3つのNGOとの連携でプロジェクトを実施しています。
① HCC(Healthcare Center for Children)とシーライツは、ベトナム国境に近いカンボジアスバイリエン州にて、地域・学校を拠点とした人身売買防止ネットワーク、牛銀行や農業技術指導、貯蓄組合といった収入向上プログラムを実施しています。
② AFESIP(英語名:Acting for Women in Distressing Situation、日本語名:苦境に立つ女性たちのために行動する会)とシーライツは、人身売買や性的搾取の被害にあいAFESIPに保護された女性たちで、職業訓練を受けたり、洋裁で生計を立てている人たちの子どもたちへの保育サービス支援をしています。
③ Friends Internationalとシーライツは、旅行者から子どもを守るための、チャイルドセーフ・プロジェクトを実施しています。
3つのNGOのなかで、ここで紹介をさせて頂くのは、このワークショップが開催された地シェムリアップを活動地の一つとしているフレンズのチャイルドセーフ・プロジェクトについてです。
チャイルドセーフ・プロジェクトとは、性的虐待や出稼ぎ、麻薬、暴力など、あらゆる危険から子どもを守るためのプロジェクトです。このプロジェクトの一つに、チャイルドセーフ・ネットワークというものがあります。「よい顧客はよいビジネスにつながる」という理念のもと、タクシー・バイクタクシー・三輪タクシー(トゥクトゥク)運転手、ホテルやゲストハウスの従業員、インターネットカフェやレストランで働く人、観光客、外国人居住者、地域の人々、子どもたちなどを対象としたトレーニングを通じて形成されたネットワークです。トレーニングでは、子どもの権利について学習し、子どもたちが危険な状況にあるのを目撃した時に、どう対応するか、あるいは、子どもたちが直接、自分の身をどのように守るかについてフレンズの職員が説明します。また、子どもを連れた外国人に、ホテルに連れて行って欲しいと言われたチャイルドセーフ・メンバーのドライバーは乗車拒否を、ホテルやゲストハウスの従業員は宿泊拒否をするようにトレーニングを受けます。トレーニングが終わると、チャイルドセーフ・メンバーとして認証され、チャイルドセーフのロゴマークがついたステッカーやシャツが認定証として提供されます。逆に、メンバーが子どもを連れた外国人をホテルまで連れて行ったのを、目撃され通報された場合には、認定証は没収され、チャイルドセーフ・メンバーリストから削除されます。
チャイルドセーフ・プロジェクトのもう一つに、チャイルドセーフ・ホットラインというものがあります。子どもが危険な目にあっている状況を見た人が連絡したり、子ども本人が訴えることができるものです。シーライツとフレンズ・インターナショナルは2004年から現在に至るまでチャイルドセーフ・ホットラインやチャイルドセーフ・トレーニングの拡大を目指しています。
また、シーライツは2006年にシェムリアップで開催されたフレンズの写真ワークショップの資金援助もしました。
写真ワークショップとは、①暴力や差別を受けたりすることで自尊心を傷付けられたストリートチルドレンが、自分を表現し自尊心を取り戻す事②子どもの性的搾取に関して社会に訴える事を目的として開催されたものです。ワークショップの活動内容は、まず、10人のストリートチルドレンに使い捨てカメラの使い方を指導しました。その後、普段はストリートチルドレンは写真を撮られる側ですが、今回は写真を撮る側となり、観光客対象に写真撮影をしました。写真撮影が終了した後、写真展開催のために写真を選び、題名をそれぞれにつけました。そして、最終的に、写真展「シェムリアップのストリートチルドレンから見た観光客」が開催されました。
この写真展の報告書日本語版「想像してみて!シェムリアップのストリートチルドレンから見た観光客」をシーライツで近日中に500円で販売します。(問合せ先:シーライツ東京事務所
シーライツの活動が今後も継続的に実施されるよう、皆様のお力添え頂けましたら幸いです。
シーライツ あなたにできること:http://www.c-right.org/join/kaiin.html
シーライツ ホームページ:http://www.c-rights.org
フレンズ写真ワークショップ報告書日本語版
「想像してみて!シェムリアップのストリートチルドレンから見た観光客」 500円
問合せ先:シーライツ東京事務所