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「祖父」と「パトロン」-元性奴隷だったソマリー・マムの強制売春との戦い①-

カンボジアだより

2009年03月2日

 

2008929日のTVNZ(Television New Zealand)のウェブサイトで、以下のような記事がありました。この記事は、シーライツのパートナー団体のカンボジアNGOAFESIPの創設者ソマリー・マムさんがインタビューを受けた時のものです。ソマリー・マムさんは、自らが買春宿に売られた過去を持つ人身売買・性的搾取の被害者です。そのソマリーさんは、人身売買・性的搾取の被害に今現在遭っている女性、少女たちの救出・保護活動をする為にNGOを立ち上げ活動をしています。応援したい、支援したい、紹介したい女性の一人です。以下、その要約をここに紹介をさせて頂きます。

 

『クメール・ルージュ大虐殺が行われていた頃〔注:1975-1999年〕、すでに孤児となっていたソマリー・マムは、自分の名前や年齢だけでなく、家族のことも覚えていない。買春宿に売られてやっと、過去の記憶がよみがえってきた。』

『彼女は、性奴隷の記憶を消し去ることの出来ないこれまでの波乱に満ちた人生を、強制売春でよみがえってきた古い過去の記憶とともに生きている。逆境を乗り越えるディケンズの物語のような、冤罪の人生のようである。』

クメール・ルージュ大虐殺に加えて身寄りがないということ、また買春宿に売られ、性奴隷として産業に従事していたことが、ソマリーの心に想像を絶する闇をもたらしたことは言うまでもないことと思います。

 

『彼女は、カンボジアの山岳地帯から誰もがあこがれる国際舞台まで駆け上がったにもかかわらず、驚くべきことに自分の人生だけを考えて生きているのではない。

「そんなふうに感じたことはない。私は今でもソマリー。昔、現場で働いていて、今は被害者を助ける。」とソマリーはインタビューで告げた。』

『ソマリーは1970年頃生まれた。推定170万人が虐殺され、処刑され、飢餓の悲惨な拷問や病気で死亡した、1970年終わりころの4年間のクメール・ルージュの革命のときのことを少し覚えてる。』

『彼女は、自分が「祖父」と呼んでいた年配の男性に連れられて山を出た。この男性は、「祖父」という敬称に似つかず、残酷な性格の持ち主だった。ソマリーが16歳くらいになろうという時に、「祖父」は自分の借金返済のために彼女を買春宿に売った。』

ソマリーさんは、自分がどのように買春宿に売られたかをここで告白しています。それは、とても勇気のいる事と思います。また、多くの少女や少年、女性が同じように慕っていた「祖父」の存在のような人、または自分の家族に、買春宿に売られています。多くは、借金返済のためであったり、貧しい家族を支えるためであったりします。根底には「貧困」という問題が根強くあるのだと思いました。

 

初めての熱いシャワー

『数年間にわたって買春宿に拘束されていた時、ある日買春宿のオーナーが横柄な態度をとったという理由で女の子の頭を殴るという恐ろしい光景を目撃した。しかしそれは、貧しい家庭が債務支払いのために娘を売るカンボジアにおいて、巨大な性貿易で蔓延する暴力行為の一つにしかすぎない。女性に対する暴力防止のための法律は施行が十分でない。』

 

NGOに勤務するスイス人のパトロンが買春宿に$100支払い、ソマリーは自由になった。女性たちが安全に買春宿から出ていくことのできる数少ない方法の一つである。』

『彼女はパトロンの部屋で、初めて熱いシャワーを浴びた。「彼は、、、蛇のような輝くものにスイッチを入れた。初めてきちんとしたせっけんを使った。それはそれは花のようにいい香りがしたのを覚えている」と彼女は記す。』

 

ソマリーさんは、幸運だったと思います。買春宿に監禁されている多くの少女や女性たちにとって夢のような話だと思います。ここでは、一文で「$100を買春宿に支払って、ソマリーを救出した」と書いてありますが、実際には危険な行為で、少女たちを救出する為には、調査を念入りにする必要があり、警察の協力も得る必要があるケースも多いです。

 

『ソマリーはしらばく滞在したフランスで結婚し、自分にできる手段で「少女たち」を助けるためにカンボジアに帰った。。そして、カンボジアに戻り、買春宿では滅多に使用されていなかったコンドームやせっけんの配布から始めた。』

『自分が育った村は避けつつ、数名が協力して「女性と少女のためのシェルターActing for Women in Distressing Situations (AFESIP)(苦境に立つ女性の為に行動する会)」を立ち上げた。』

『スペインの草の根グループが、アフェシップが地域に拡大するのを支援し活動範囲はタイやラオスにも広がっている。カウンセリングの提供や、シェルターの提供、エイズ防止策に関する教育の機会提供も実施している。またメンバーは、性産業に従事する少女たちと関わることの危険性について、男性に話もしている。』

次回「女性はおもちゃじゃない」元性奴隷だったソマリー・マムの強制売春との戦い②につづく。。。

 

AFESIP ウェブサイト: http://www.afesip.org/(英語)

 

C-Rights ウェブサイト内でもAFESIPを紹介しています。: http://www.c-rights.org/project/cambodia/4partner.html (日本語)

 

200812月のソマリー・マムさん招聘講演の報告をC-Rights ウェブサイトでご覧頂けます:http://www.c-rights.org/2008/12/081.html (日本語) 

 

子どもの権利についての研修や人身売買・児童労働に関する子ども向けの啓発に必要な文房具を配布することができます。

童話や物語の本を5冊購入し、本が傷まないように補強してから図書室に届けることができます。

村の清掃と衛生について学ぶ「ゴミ拾いキャンペーン」を1回開催することができます。