カンボジアだより
2017年07月15日
「孤児院ツーリズム」とはボランティアで孤児院を訪問することを目的としたツアーの子です。善意で行っているボランティアが子ども搾取につながっているかもしれません。孤児院ツーリズムなどを含む「孤児院ビジネス」は現代の奴隷制度だとみなしてもよいとさえ西オーストラリア自由党のリンダ・レルノイドさんはいいます。
孤児院にいる多くの子どもは孤児ではない?
カンボジアは「孤児院ビジネス」が起こっている国の一つです。そのカンボジアにある孤児院にいる子どもの多くが孤児ではないことが分かっています。ボランティアによる支援や寄付を集めるために、子どもは親から引き離され、盗まれます。孤児院が雇ったスタッフは貧しい地域に行き、孤児院に来ればよりよい暮らしができると親を説得し、子どもをリクルートするのです。スタッフは両親に子どもと連絡を取り続けることができる、と約束しますが、その多くは嘘です。なぜなら子どもたちは「孤児」という新しいアイデンティを与えられ、真の両親の存在はそのための障害となるからです。
商品のように扱われる子どもたち
そのような「偽」の孤児院では子どもはお金を集めるための究極の「商品」「道具」として扱われます。子どもは孤児院の宣伝のために夜のバーでチラを配り、また訪問者の同情をさそい寄付を募るために、わざと栄養失調にさせられていることもあります。
ボランティアとの度重なる別れが孤児に与える影響
「私たちがボランティアの人たちと初めに出会ったときは嬉しかった。でも、彼らが孤児院を去る時の悲しみと言ったらトラウマになりそうだった。私たちはひどく困惑して、泣きじゃくっていた。おとなたちが孤児院を訪れては去る、この繰り返しで、毎回捨てられたように感じていた。」カンボジアの孤児院で育ったシネット・チャンさんはこのように語っています。孤児の子どもたちにとってボランティアとの別れは親との離別の記憶を呼び起こす要因となります。
オーストラリア政府の啓発キャンペーン
リンダ・レルノイドさんは外務省に、旅行者に対してボランティアツーリズムに潜む危険性をウェブサイトに載せるように喚起しています。「ボランティアをしたいのなら責任をもってすること。支援する施設についてよく調べ、自分の行動がもたらす影響を批判的に考える必要があります。自分は善いことをしているつもりでも状況を悪化させている場合があるのです。」偽の孤児院が閉鎖になったとしても、子どもたちをどのようにして親元に返すのか、という問題が残っています。子どもが家族と一緒に暮らせることをサポートするようなプログラムを支援することも1つの方法です。
参考記事
http://www.abc.net.au/news/2017-07-02/exploited-cambodian-children-orphanage-tourism-trade/8668506?pfmredir=sm
シーライツ・インターン 久保田 奈津