カンボジアだより
2017年03月15日
シーライツは2014年4月からカンボジア・スバイリエン州コンポンロー郡タナオコミューンで、ベトナムへの出稼ぎによる子どもの人身売買及び児童労働防止事業を実施してきました。
2017年3月に事業の第一期が終了することから、外部コンサルタントによる事業 の評価を2016年11月から12月にかけて行いました。
現地タナオコミューンでの調査では、合計161人の住民や子ども、関係者にグループ・ディスカッションとインタビューを行いました。
前回に続き、ピア・エデュケーターとして3年間活動してきた子どもの声をご紹介します。
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ピア・エデュケーターのチャンティ(中学2年生)
シーライツのスタッフが子どもクラブの設立を知らせに来たとき、チャンティは立候補し、そしてピア・エデュケーターとして選ばれました。
彼女の学校でピア・エデュケーターが選ばれたのは初めてのことでした。
「私は新しいことを学び、新しい知識を得たかったのです。
ピア・エデュケーターとしてのふるまい方をわかるようになってから、他のクラスメートにもピア・エデュケーターになるようにすすめました。
私はピア・エデュケーターとして子どもたちに教えることが好きです。」
チャンティが住む地域では、雇用機会が限られているため、チャンティの両親は出稼ぎに行ってしまい、現在も離れた場所の工場で働いています。
以前は家族と離れて暮らすのは父親だけだったのですが、数年前、両親はチャンティに、学校に行くのを辞めて、家族の家計を助けるために都市に出稼ぎに行ってくれないかと尋ねたことがありました。
「そのとき、私のお父さんだけが工場で働いていて、お母さんは私たち3人の子どもと一緒に暮らしていました。
けれども、家族の経済状態が悪くなり、お母さんとお父さんは私に働きにいくように頼んだのですが、私は断りました。
私はもっと勉強がしたい、働きには行きたくない、と言いました。
すると、お父さんとお母さんは私の言うことを聞いてくれ、代わりにお母さんが工場に出稼ぎに行くことになりました。」
チャンティは中学2年生として学校で勉強をしていますが、彼女のクラスメートの多くはすでに学校をやめて、働くようになってしまいました。
両親によって強制的に働きに行かされた子どももいれば、良い洋服や携帯を買うためのお金が欲しくて働きに行った子どももいます。
チャンティはかつて、ピア・エデュケーターがCCWC(女性と子どもコミューン委員会)の会議に招待され、地域の子どもたちの状況について話すように頼まれたときに、この問題について委員会のおとなたちに伝えていました。
「委員のおとなの人から『何人の生徒が学校を退学し、工場に働きにいっていますか。」と、尋ねられたので『私のクラスでは50%です。」と答えました。
実際に、たくさんのクラスメートがすでに工場に働きに行ってしまいましたが、カジノに働きにいった人もいます。
すでに退学してしまった元クラスメートのうちの1人は、今妊娠しています。
彼女はまだ16歳です。」
彼女によると、ベトナムへの出稼ぎは驚くほど減少していて、ベトナムで働くために国境を越えるような子どもは滅多にいなくなりました。
しかし、子どもが退学し、工場やカジノに働きにいくことはかなり多くなっているのです。
チャンティは、将来英語の先生になるという自身の夢を叶えるために、できる限り長く勉強したいと言います。
彼女は言いました。
「今は両親が理解し応援してくれているから、私は夢を叶えることができると思います。」