カンボジアだより
2015年11月22日
タナオコミューンのほとんどの住民は稲作で生計を立てていますが、この地域の稲作の問題は、大量の化学肥料と農薬(除草剤・殺虫剤)を使用していることです。これらを使えば、短期間で効果を実感できますが、人の健康や自然環境に悪影響を与えます。それでもこの地域の人々は化学肥料と農薬を借金をしてまで購入します。その量は他の地域の5倍にもなるといいます。(スタッフ談)結果として収穫量はそれなりに増えますが、後には高い利子をともなう借金の返済が待っています。そして、ついには家族が食べる分のお米まで借金返済に充てられ、いつまでも貧しい生活から抜け出せないでいます。(もちろん、貧困におちいる理由はこれ以外にもあります)
でも化学肥料を購入しなくても身近にある材料で肥料は作れるし、農薬を使わずなくても防虫効果が期待できる方法はあります。「有機肥料」は人にも環境にも優しく、お財布にも優しい肥料です。そして、採れた作物は高値で取引されます。
今、タナオコミューンでは地域の農業組合が有機肥料のプロモーションをしているところですが、長年、化学肥料と農薬の効果を信じて使い続けてきたおとなたちの考え方や習慣を変えるのは簡単ではありませんし、新しい方法にチャレンジするのには勇気が要ります。
ということで、前置きが長くなりましたが、今日のトレーニングでは、次世代のリーダーを目指すピア・エデュケーターたちに有機肥料を紹介し、肥料作りを実践しました。
材料は、藁、牛糞(乾燥したもの)、ぬか(炭化させたもの)、もみ殻、木の葉、ヤシ砂糖、バナナと砂糖を混ぜ・発酵させて作った液、水、です。これらの材料は、タナオコミューンでは多くの家庭にある身近なものです。
作り方ですが、最初に、乾いて固くなった牛糞を細かく砕いておきます。あとは、すべての材料を混ぜるだけ。混ぜ終わったら全体を覆って3日置きます。3日後にもう一度よく混ぜてさらに15日置きます。これで完成です。
この肥料は稲にも野菜にも花を育てるのにも使えて、たプラスチックの容器などに入れて、半永久的に保存できるという優れもの。
子どもたちが先にこの有機肥料の素晴らしさを実感して、地域に広めてくれることを期待しています。