カンボジアだより
2015年06月30日
今年は6月1日の「国際子どもの日」を記念して、ピア・エデュケーター(子どもの代表)によるスピーチコンテストを開催しました。
スピーチのテーマは自由です。
ただし、聞く人がそのスピーチから「学び」を得られるような内容にする、という条件をつけました。
子どもたちは、コンテストの半月前から準備をはじめました。
シーライツはこれまでの研修を通して、ピア・エデュケーターに「深く考え、自分なりの意見や見解を持ち、人前で発表できるように」と子どもたちを励ましてきました。
今回のコンテストは、その成果を発揮する機会であり、「どのように話したら、相手の関心や理解を得られるか」というチャレンジでもありました。
コンテストのお知らせをすると、スピーチのテーマをあっという間に決め、どんな内容を盛り込もうかと具体的に考えている子どもが多く、日頃から身の回りのことに高い関心を寄せていることがうかがえました。そして、友だちと集まることがあれば、友だちの前で「発表」の練習を繰り返ししていました。
そして迎えたコンテストの当日。
30名強のピア・エデュケーターがコミュニティセンターのチャイルド・フレンドリー・スペースに集まりました。
子どもたちは、前に出て発表するために積極的に手を挙げ、指名されると、堂々とスピーチを行いました。
ピア・エデュケーターが選んだテーマは、
「子どもの権利」、「差別」、「学校と先生について」、「友だちについて(よい友だちと悪い友だち)」、「タナオ・コミューンの人々について」などさまざま。つい最近まで、手を挙げて発表しようかどうかもじもじしていたり、ボソボソとした話し方で頼りなく思えた子どもたちが、見違えるほどの素晴らしいスピーチを披露してくれました。
ほかの子どもたちに向けて、「自分の想い」を「自分の言葉」で一生懸命語りかけている様子は感動的でした。
そしてコンテストで1位に輝いたのは、中学3年生の二ワットくんのスピーチです。
テーマは「交通事故」です。
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カンボジアは、交通事故が非常に多く、誰にも起こり得るとても身近な問題です。
地方に行けば、多くの道路は舗装されておらず、デコボコの道に土埃が舞い上がり、泥濘、水たまり、深くえぐられた穴などがあちらこちらに見られます。
このような「道路整備の遅れ」が交通事故の背景として挙げられますが、人々が法律を守らない(または、法律を知らない)、お酒を飲んだ後も構わずにバイクや車を運転する、注意を怠る、他人を傷つけたり死なせたりする危険に鈍感であることなど、人的な要因が、事故を引き起こすのだと思います。
無謀な運転や注意不足によって、多くの若者の命が失われています。
言いかえれば、カンボジアは交通事故によって、前途有望な人たちが亡くなってしまっているのです。
だから皆さん、これ以上の命が交通事故によって失われないよう、自分自身の身を守るとともに、家族や周りの人にも危険な運転をしないよう、注意を呼びかけましょう。
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さらに、2位~4位までを決定し、賞品として本や辞書、ペンなどの文房具が贈られました。
2位:ソナちゃん(中学1年生)、テーマは「将来設計の大切さ」
3位:ソンハーくん(小学6年生)、テーマは「薬物の危険」
4位:リティアくん(中学3年生)、テーマは「教育の重要性」
スピーチコンテストを通して、ピア・デュケーターが着実に力を伸ばしていることを実感しました。次回は、夏休みを利用して作文コンテストを開催する予定です。