カンボジアだより
2014年06月25日
シーライツの活動地・スバイリエン州コンポンロー郡タナオ・コミューン(集合村)では、小学校の高学年になると、学校をやめ、年齢を偽って出稼ぎに出たり、隣国のベトナムに物乞いに出される子どもたちが後を絶ちません。
学校に行かなくなってしまった子どもたちは、その後、学習をする機会が減っていき、学んだり新しい知識を得る喜びを失ってしまいます。一度学校に行かなくなってしまった子どもたちが学校に戻ることは難しくなります。そこで、この地域で子どもたちが集い、学び、遊べる空間として、コミュニティセンターを建設することになりました。
建設にあたり、香川県高松市の公益社団法人セカンドハンド様に建設費のご支援をいただきました。
センター建設は、学校をやめてしまった子どもたちも安心して学ぶスペースを確保する、という目的のため、学校の敷地内ではなく、タナオ・コミューンの公用地であるお寺の敷地に建設することに決めました。コミューンの中心地に近く子どもたちが利用しやすい、敷地内に常に人々が出入りしていて安全性が高い、という理由からです。
センターには、①子どもたちが集まってミーティングや活動をしたり、友だち同士で勉強を教え合ったり、自由に過ごすことのできる「アクティビティルーム」1室と、②図書室1室が設置され、この2つの部屋をあわせて『チャイルド・フレンドリー・スペース』と呼ぶことにしました。
そのほかに③タナオ・コミューンの農民によって組織された農業組合の事務所スペースと、④農業組合を通して、生産した野菜を出荷するための作業場(屋根付き屋外)、もつくられました。
シーライツは、このコミュニティセンターは、地域の人たちのものであり、その建設やその後の管理・運営に、地域の人たちに積極的に関わってもらいたいと考えました。そのため、建設が開始されるまでの期間、センター建設中の管理や建設後の運営について地域住民と話合いを進めました。そして、「建設モニタリング委員会」と「チャイルド・フレンドリー・スペース管理運営委員会」を地域住民から組織し、それぞれの役割や責任について検討しました。
センター建設中は、建設モニタリング委員会のメンバーが、日々の建設作業を確認し、現場監督やワーカーたちとコミュニケーションを取ること、建設後は、チャイルド・フレンドリー・スペース管理・運営委員会とシーライツが協同で、アクティビティルームと図書室の管理・運営を行うことで同意しました。
チャイルド・フレンドリー・スペース管理運営委員と
代表理事・甲斐田の話合いの様子 cC-Rights
カンボジアでは、雨季に建物を建設するのは難しく、特に、国道から遠く離れた非常にアクセスの悪いタナオ・コミューンは、建設資材の運搬も困難なため、乾季の2月に建設が始まりました。建設作業には、住民10名も従事し、建設開始からわずか2ヵ月と10日で、無事センターが完成し、竣工式を迎えました。
竣工式には、スバイリエン州やコンポンロー郡の教育局、社会福祉局、農業局などの代表者や、地域の学校の教師、お寺の僧侶が来賓として招待されました。また、タナオ・コミューンのピア・エデュケーター(子ども代表)を含む子どもたち約200名、ピア・エデュケーターの保護者や農業組合のメンバーなどおとな約200名が参加しました。
シーライツ、各来賓の挨拶のあと、センターの正面で、テープカットが行われ、建物の中が披露されました。アクティビティルームには、正面にホワイトボードが掲げられ、子どもたちがたくさん座れるようにと、背の低い幅広な机が4台設置されました。図書室には、本棚が2台、机と長椅子2台が設置されました。
式の最後に、記念品として子どもたちに文房具が、おとなにクロマー(コットンで作られた万能スカーフ)が配られました。
こうして、地域をあげてセンターの完成をお祝いしました。
早速、図書室を利用する子どもたちと子どもたちを見守る
チャイルド・フレンドリー・スペース管理運営委員のパリーさん cC-Rights
これから、ブログやフェイスブック、ニュースレターなどで、コミュニティセンターでの子どもたちの活動の様子を掲載していきますので、おたのしみに!