カンボジアだより
2014年05月15日
前回に引き続き、事業地のスバイリエン州のタナオ・コミューンを甲斐田代表理事と訪問したインターンの橘田美優さんからの報告をご紹介します。
4月に、公益社団法人セカンドハンド様のご支援により、タナオ・コミューンにコミュニティセンターが建設されました。このセンターには、「図書室」と「アクティビティルーム」の2つの部屋からなる『チャイルド・フレンドリー・スペース』が設置されました。
私は2月に、このチャイルド・フレンドリー・スペースを管理・運営する委員会のメンバーに選出された5名のうち、女性3名、男性1名の方にお会いすることができました。甲斐田代表理事とメンバーのミーティングの様子をお伝えします。
参加メンバー
①ソー・ロンさん(女性)
②コップ・ソーさん(女性)
③ヨン・パリーさん(女性)
④プロン・サニーさん(男性)
cC-Rights
ソー・ロンさん、ヨン・パリーさんは、女性と子どものために働いた経験がある方でしたが、コップ・ソーさんは秘書の仕事をしていて、女性や子どもに関する仕事はしたことがないとのことでした。以下、甲斐田代表とコップ・ソーさんとのやりとりです。
(甲斐田):あなたは、どうして、チャイルド・フレンドリー・スペースの管理・運営委員会のメンバーになりたいと思ったのですか。
(コップ・ソー):私はチャイルド・フレンドリー・スペースの安全面をサポートして行きたいと思います。また、私の家族は貧しく、私自身8年生で学校を辞めなくてはなりませんでした。なので、自分の子どもには、このセンターに来て少しでも勉強ができるようになって欲しいと思ったので参加しました。
子どもには私のようにはなって欲しくないです。
(甲斐田):あなたがチャイルド・フレンドリー・スペースの管理・運営委員会のメンバーになりたい、ということで、家族と話し合いましたか?
(コップ・ソー):はい、話し合いました。娘が一番驚いていましたし、喜んでくれました。それに、私が8年生しか学校に行っていないことを知っているので大変喜んでくれました。
(甲斐田):娘さんをいつ頃まで勉強をさせたいですか?
(コップ・ソー):娘は、将来は縫製工場で働きたいと話しています。教育の大切さを理解している子なので、子どもが勉強をしたいという意思がある限り、勉強をしてほしいと私は思っています。
(甲斐田):(全員に対して)子どもの権利のトレーニングや勉強をしたことはありますか。
(ソー・ロン):子どもの権利についてはシーライツがこの地域で活動するようになって、勉強する機会がふえました。私はポルポト時代の人間なので、学校に行けたのは5年生までです。それに当時の5年生と今ではまったく教育のレベルが違うと思います。今の小学3年生のレベル程度だと思います。ですが、私は教育をきちんと受ける機会がなかったのにも関わらず、今、村の中でとても大切な地位についていると思います。私は、以前から仕事、一つ一つに責任を持って取り組んでいます。
(コップ・ソー):私はまったく子どもの権利を勉強したことがありません。ただ、私が子どもの時の経験を今の子どもにさせたくないと強く思います。だから、シーライツが建設するチャイルド・フレンドリー・スペースの管理・運営を担当し、子どもたちに教育の重要性を理解してもらいたいと思っています。
(ヨン・パリー):子どもの権利は子どもの時にも少し勉強したことがあります。また、現在子どもをサポートする場所で働いているため、子どもの権利のことは詳しいわけではないですが理解することができます。子どもの権利を知ることで子どもたちが自分の声をあげられるようになることが、大きな役割だと思います。チャイルド・フレンドリー・スペースで子どもたち同士が勉強を一緒にすることで、お互いに励まし合い、教育の重要性を理解できるようになることを期待し、担当者になろうと思いました。
このような5名の管理・運営委員会メンバーが、強い意思と責任を持ち、子どもたちのために一生懸命やっていこうとする姿を目にして、今後が楽しみだと思いました。
「自分の子どもを含め、すべての子どものために」、と言うコップ・ソーさん、教育の重要性をみんなに知ってほしいと言うヨン・パリーさん、学校には5年生までしか通えなかったけれど、みんなのことをまとめるソー・ロンさん。これから、チャイルド・フレンドリー・スペースで行われる活動に注目していただければと思います。