カンボジアだより
2012年10月30日
世界の多くの国々では、人身売買と同様に薬物犯罪が大きな問題となっています。統計上では、薬物犯罪は、武器犯罪、人身取引を上回り、世界第1位の犯罪産業となっています。カンボジアなど多くの途上国では、ストリートチルドレンや売春をしている女性などが辛い現実から逃れるため、借金をしてまでも薬物 を服用することがありますが、強制されたりピア・プレッシャーによって薬物依存になることもあります 。そしてドラッグを買うお金を稼ぐため、犯罪を繰り返します。
今回ご紹介する記事は、薬物犯罪にかかわった人々が送られる更生施設で、施設職員が、勾留されている人々に対して、性的虐待や強制労働を行っているという内容です。中には、犯罪の加害者ではないのに拘留されている人々が被害に遭うケースもあるそうです 。カンボジアでは、保護者が未成年の矯正のために更生施設に保護を依頼している事案など警察や行政の汚職や賄賂が蔓延していると報道されています。警察や施設の職員は、ストレスの結果、刑務所の罪のない人々に対して権力を乱用するのではなく 、本来の職務を遂行し、国民の見本となる存在になってほしいと心から願っています。(シーライツボランティア・林雅雄)
【翻訳】
カンボジアの薬物更正施設の地獄
Cambodia’s drug detention hell
cPhnom Penh post
プノンペンポスト2012年7月26日号
Thursday, 26 July 2012
David Boyle and Chhay Channyda
カンボジアの薬物更生保護施設の子どもが、軍警察の指揮官に性行為を強要されたと同時に、同じ施設に拘留されていた女性は何日にもわたってレイプをされた。このようなカンボジアにとって不利になる新しい報告が、Human Rights Watch(以下;HRW)から発表された。
「治療という名の拷問(ごうもん):ベトナム、中国、カンボジア、ラオスにおける虐待」と名付けられたこの研究では、カンボジアの入所者は、看守の家の建設を強制されたり、また、薬物依存症であるという明白な証拠がないにも関わらず、しばしば刑務所に入れられていると発表している。
世界的に適切と認められている基準に基づいた治療 は、カンボジアとベトナムの施設にはない。
それでも、組織的な虐待が暴露されたにも関わらず、政府関係施設と一緒に施設運営に取り組んでいるドナーや国連機関は介入しなかったと報告書は述べている。
カンボジアの子ども達は、電気警棒でショックを与えられたこと、スタッフによって性的虐待の被害にあったことといった、自分達がどのような暴力を受けたかを、HRWに話した。
「私がやらなければいけなかったマッサージには、性的なものもありました。もしそれをやらなければ、指揮官は私を殴りました。男は私に、「アイスクリームを食べろ」と言い、むりやり性行為をさせられました。私がそれを断ると、男に殴られました。むりやり性行為をさせられたことは何回もありました。どうやったら拒否できたのでしょうか?」と、匿名の子どもの証言を引用している。
以前刑務所に入れられていた女性は、罪を犯したという濡れ衣によって他の女性たちが逮捕された後、どのような性的暴行を受けていたのか証言した。
「時々、男達は同じ女性を5日間も連続でレイプしました。なぜなら新しい人がはいってこないから。男達が、反論できない女性に対して何回もレイプしていたのを私はこの目で見ました。」報告書によると、女性はこう話している。
「女性の叫び声が聞こえたこともある。女の人が声を出そうとしているのだけ聞こえました。」
5年にわたる調査期間中に起きた他の人権侵害の中には、カンボジアの施設で、収容された人が炎天下、何時間も飲まず食わずのまま縛られて、隔離された牢屋(ろうや)のようなところに置かれていた事例も報告されている。
家庭省・薬物撲滅部署長のキュー・サモーンは、よその国が作った「根拠のない」調査だとして強く非難し、HRWは薬物製造者と犯罪者撲滅のため、政府と協力することが重要だと述べた。