カンボジアだより
2015年02月13日
毎年、中華正月に多くの子どもがベトナム(ベトナムでも中華正月を祝います)へ物乞いに出されることから、今年はそれを事前に防止するために、ピア・エデュケーターを中心とした子どもたちと一緒に、キャンペーン・マーチを行いました。
ピア・エデュケータ―たちは、前日にコミュニティセンターに集まって、行進の時に掲げるプラカードに書いたり、スピーカーで流すメッセージ(スローガン)を考えました。
メッセージはこのようなものでした。
「両親は子どもを学校に通わせる義務がある」
「子どもを物乞いに送ることは子どもの権利を侵害していることになる」
「子どもとして、私たちは両親が物乞いに行く事を許してはいけません」
「子どもを愛しているなら、ベトナムに物乞いをさせるために子どもを送るのを止めましょう」
「もし、子どもたちの明るい未来を望むのであれば子どもたちを学校に通わせる必要がある」
「もし、このまま海外への移住や違法な出稼ぎを続けると私たちの国(カンボジア)の価値が失ってしまう」
当日は日曜日で、ピア・エデュケーター以外にも約100名の子どもたちが行進に参加しました。小学校の校長先生や警察、農業組合の役員さんも同行してくれました。
3時間かけて、舞い上がる砂埃の中、タナオコミューンの村々を行進し、「子どもたちをベトナムへ物乞いに出さないで」と、地域のおとなたちへ、メッセージを送り続けました。
また、シーライツが作ったキャンペーンのイラストと事前に各村の村長やコミューン評議会、警察から承認をもらったベトナムへの違法な出稼ぎを警告する文書を、沿道の目立つところに貼っていきました。
行進を終えた後は、子どもたちとキャンペーン・マーチの振り返りを行いました。
どの子どもたちも、「キャンペーン・マーチに参加できて楽しかった」と感想を言ってくれました。そして、「今日のキャンペーンのメッセージを聞いて、おとなたちは、子どもを物乞いに出すことを恥ずかしいと思うはずだ」「行進を見た誰もが、子どもを物乞いに出すのは違法であることを理解したはずだ」「子どもの気持ちを発信できてうれしかった」と話してくれました。
このように、タナオコミューンの子どもたちは、自分たちの気持ちを表現したり、ほかの子どもたちと協力して地域全体に子どもの声を届けることができるようになってきました。これまで、ピア・デュケーターを中心に「子どもの権利」を広めてきましたが、それが知識だけにとどまらず、実際に行動や態度に移されていることが実感できました。