カンボジアだより
2010年12月17日
昨年の9月にカンボジアで子ども買春の罪で日本人男性、加藤被告が告訴されましたが、今年の10月についに有罪判決が下されたので、その記事を紹介します。カンボジアの人身売買取締法では、子ども買春の被害者が15歳未満の場合、懲役は7年から15年です。今回加藤被告に出た懲役7年は最低限の年数で、94ドルの損害賠償金額も低すぎますが、少なくとも今回のような判決が出ることで近年、カンボジア政府がこの問題に真剣に取り組んでいて、子ども買春は犯罪であり、処罰されるという警告を日本社会に放つことができるのではないでしょうか。
加藤被告以外に、先月、15歳と16歳の少年を買春したとして、また別の日本人男性、オオイノブユキ容疑者が逮捕されました。少年にそれぞれ10ドルずつ払い性的な行為をしたと報道されていますが、この件について新しい情報が入りましたら、またご紹介したいと思います。
シーライツはHCCと共に、農村部で人身売買や性的搾取の被害防止プロジェクトを実施する他、今年からフレンズ・インターナショナルと連携してカンボジアへ旅行する日本人に対して、カンボジアの子どもを虐待などの暴力から守る方法を呼びかける、チャイルドセーフ・ネットワーク・キャンペーンを開始しました。カンボジアへ旅行される方はぜひこのキャンペーンに参加してください!
チャイルドセーフ・ネットワーク・キャンペーン特設ウェブサイト
http://www.c-rights.org/childsafe/index.html
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http://www.c-rights.org/join/monthly.html
写真はプノンペン地方裁判所に出廷する加藤敦被告と、2004年に14歳から19歳の少女5人をレイプした罪で懲役20年の有罪判決が下されたニュージーランド人グラハム・クレグホーン。クレグホーンは現在、被害を受けた少女たちが訴訟を起こす際にサポートをしたNGO、Cambodian Women’s Crisis Center(CWCC)から名誉棄損で訴えられている。
日本人男性、子ども買春で有罪判決
プノンペン・ポスト紙 2010年10月13日(水)
チャラン・チョムラウン記者
プノンペン地方裁判所は、2009年8月に13歳の少女を買春したとして、日本人男性に懲役7年の有罪判決を言い渡した。
加藤淳被告(40歳)は、ドン・ペン地区の買春宿で子ども買春を繰り返したとされ、同買春宿に対する警察の強制捜査から一か月後の2009年9月に逮捕された。
加藤被告は、被害者の少女が保護されている政府のシェルターを訪問した後に逮捕された。
被告は「少女がシェルターでどのように過ごしているのか知りたくて」施設を訪問したと話している。
ディン・シブティ判事は、被告に対して懲役7年の判決に加え、損害賠償金として40万リエル(94ドル)の支払いを命じ、服役後の国外退去を伝えた。
加藤被告は判決後、「有罪判決に対して不服であり、担当弁護士に上告を依頼するつもりである」と記者団に伝えた。
被告側のカオ・ソウファ弁護士は、懲役7年は人身売買取締法で求刑しうる最小限の刑期であるという点では妥当だが、有罪判決そのものは不当であると述べている。
加えて、ソウファ弁護士は「加藤被告は、少女が化粧をしており、年齢確認をする必要はなかったため、13歳であるとは気づかなかった。そこで裁判所職員と政府職員に伺いたい。若い女性と性的行為を行う際に、身分証明書の提示を求めたことがありますか」とコメントした。
子ども保護の活動をしているNGO、Action Pour Les Enfant(APLE=子どものための活動)から任命された原告側のヌオン・パニット弁護士は、「裁判所が加藤被告に対して下した有罪判決は被害者少女にとって納得がいくものであり、法的にも妥当です。しかし、被害者が受けた損害に対する賠償金額が少なすぎる」と話した。
プレア・シハヌーク地区では、子ども買春に関する罪でフランス人のミッシェル・ロジェ・ブロンシャー被告(44歳)に17年、アメリカ人 アラン・アーサー・ペリー被告(57歳)に3年の実刑判決が言い渡されている。
ブロンシャー被告は、2008年8月に少年2人を不法に連れ去り、性的搾取を目的に雇用したとして、ペリー被告は、4月に10代の少年4人に対し性的行為を求めたとして、それぞれ有罪判決を受けている。
(2010年11月10日 小嶋千夏)
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