お知らせ

アフェシップ・フェア・ファッション

カンボジアだより

2010年10月24日

 

 アフェシップ・フェア・ファッション(AFF)は、人身売買、性的搾取、DVなどの被害にあった女性が作ったフェアトレードの服飾雑貨を販売しているソーシャル・エンタープライズ(社会企業)です。シーライツはAFFの商品を日本で販売するほか、2009年より、AFFで幼い子どもを抱えて仕事をする女性のための、保育プログラムを支援しています。

 

AFFと歩む社会復帰への道のり

 

 一見プノンペンの街中でよく見かける仕立屋のような建物に入っていくと、ミシンやマネキンが並ぶ部屋で、女性たちがおしゃべりしながら洋服や小物を作っています。AFFで働く女性たちのバックグラウンドを知らなければ、その笑顔で迎えてくれる女性たちが人身売買、性的搾取、DVのサバイバーだとは想像も出来ないでしょう。

 

 


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熱心に仕事に取り組むAFFの女性たち cシーライツ

 

 アフェシップのシェルターに保護された少女や女性たちは、カウンセリング、ライフスキル、生き抜くために必要な教育、職業訓練などを受けた後に、縫製工場での就職や、仕立屋のお店を開くなど自分たちが進みたい道を選びます。そのなかで、AFFでの就職を希望した女性がアフェシップから紹介されます。最初の3ヶ月間は試用期間として、生活費と月給40ドル(3,400円程度)が支給されます。試用期間が終わると、生活費も含めた月給70100ドル(6,000円~8,500円程度)の固定給が払われ、女性たちはもらった給料で自立した生活を送ることになります。試用期間終了後も、スキルトレーニングと必要に応じてアフェシップからのカウンセリングなどのフォローアップは続けて受けることができます。

 

 


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 マネージャーのロタさん(右)cシーライツ

 

 AFFで働く女性の多くは農村の貧困家庭出身で、全員が給料の一部を家族に送金しています。なかには、家族の借金を肩代わりしなくてはならないなどの金銭的な問題を抱えている女性もいて、経済的自立は容易ではありません。女性たちがお互いに協力して助けあえるように、各自一定の金額を毎月納めて貯金し、困った時に金利無しで貸出をする貯蓄グループを結成したそうです。

 

 「今は10名の女性が働いていますが、不景気で注文数が激減しています。給料を払うのも大変だけど、彼女たちの仕事が何もなくなってしまった時に、どうモチベーションを維持させるかも悩むところです。」と嘆きながらも、笑顔と前向きな姿勢は崩さないマネージャーのロタさん。今まで多くのサバイバーと共に歩んできた彼は、女性たちを励ます時にこう言うそうです。「過去を振り返ってばかりいてはいけない。今は自分の命があることに感謝して、これからの人生のことを考えよう。」 女性たちにとってはよき上司であり、時には父親のような存在のロタさんは、彼女たちの仲人になったりもします。

 

 



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AFFの商品 cAFF

 

子どもを持つ女性を支える保育プログラム

 

 今ではAFFで働く女性の多くが結婚していますが、現在そのうちの5 人が子どもを抱えて仕事に来ます。農村部出身の彼女たちは、近くに子どもの面倒を見てくれる人がいないので、職場に子どもを連れてきていました。小さな子どもにとって針やハサミがある職場は安全な場所ではなく、母親にとっても集中して仕事ができず効率が下がるというジレンマがありました。そのような母親と子どもを支援するために、建物の最上階を保育室に改築し、2009 2月にスタートしたのが、シーライツが応援している、保育プログラムです。

 

 保育室に行くと、駆け回る子どもたちの笑い声が聞こえ、保育士の女性が赤ちゃんをあやしながら子どもたちを見守る姿がみえます。現在は、1歳から3歳の女の子5 人と男の子1 人の計6 人の子どもがいます。保育室にはハンモック、おもちゃや絵本があり、経験豊富な保育士に見てもらうことで、母親は安心して子どもを預けることができるだけでなく、同じ建物内に子どもがいるため、いつでも子どもの様子を見に行くことができるというのも、大きな魅力のようです。

 


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元気に遊ぶ保育室の子どもたちと保育士cシーライツ

 

仕事と子育ての両立に奮闘する女性たち

 

 「AFFでは、みんなのお手本となるようなスタッフになりたいと思っていますが、子どもの世話も大変です。保育サービスを受けられるようになってからは、安心して仕事をすることができ、平和で温かく幸せな時間を過ごしています。子どもが健康で日々賢く成長していくのを見ることができるのは、とても嬉しく思います。子どもが小学校に上がるまで保育サービスが続いてくれるといいです。」3歳児の母親であり、AFFで働いて5年のモパーさん(仮名)31歳は言います。母親になって嬉しかったこととして「職場でいやなことがあっても、子どもの顔を見るとすべて忘れしまう。」とはにかみながら嬉しそうに答えてくれる彼女には、母親として直面する困難もあると言います。

 


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子どもを寝かせる保育士cシーライツ

 

 彼女のほかにも、夫婦の生活がうまくいかなくなったり、夫が子育てにかかわってくれなかったり、母親や妻としての悩みがある女性も少なくありません。また、私たちの想像を絶するような経験を生き延びてきた彼女たちは、大きなトラウマを抱えており、物事がうまくいかないと感情に訴えてしまうことがあります。ロタさんは言います。「初めて母親となった彼女たちは、子どもへの対応の仕方がわからず、子どもの要求に応えられないとき、攻撃的になったり叫んだりすることがあります。保育士が子どもとのコミュニケーションのとり方や接し方、困ったときの解決方法などさまざまな相談にのり、女性たちをサポートすることで彼女たちも変わりましたよ。」

 


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子どもたちと保育士cシーライツ

 

 子どもにはどう育ってほしいかと聞くと、「私は教育が受けられなかったので、子どもにはいっぱい勉強してほしい。」と涙ながらに語るモパーさん。教育が受けられなかったがゆえに、職業の選択肢がなかったり、騙されてしまったりして、つらい経験をしてきた彼女は、自分の子どもは同じ道を歩んでほしくないと母親として強く願う気持ちがあるのでしょう。そのかたわらで一緒に涙を流す保育士の方は、モパーさんにとっては母親のような存在です。仕事をしていて「注文がたくさん入った時や、問題を抱えている時、ロタさんや同僚から助けられた時が嬉しい。」というモパーさん。AFFが彼女たちにとって職場という以上に、支え合う家族のような存在であることを感じます。

 

皆さんもぜひ、カンボジアに行った際はAFFに立ち寄ってみてください!

 

AFFの住所:House 107B, Street 432, Tuol Tompung II, Phnom Penh, Cambodia

AFFのサイト:http://www.fairfashioncambodia.org

 

 

 

子どもの権利についての研修や人身売買・児童労働に関する子ども向けの啓発に必要な文房具を配布することができます。

童話や物語の本を5冊購入し、本が傷まないように補強してから図書室に届けることができます。

村の清掃と衛生について学ぶ「ゴミ拾いキャンペーン」を1回開催することができます。