カンボジアだより
2017年06月27日
6月24日~25日の週末に、カンボジアの事業地、タナオ・コミューンのピア・エデュケーター(子ども代表)へトレーニングワークショップを実施しました。
2017年度からは現地パートナーNGOのCCPCR(Cambodian Center for the Protection of Children’s Right)と協働で事業を実施しています。
トレーニングワークショップ2日目
最初に昨日の復習。子どもの権利に関する質問が書かれた用紙を重ねて作られたボールを音楽が流れている間に右隣の仲間にパス→音楽が止まったときにボールを手にしていたピア・エデュケーターが一番外側の用紙をボールからはがして質問に答える、というゲームをしました。
本日のメイントピックは、「権利とニーズ」です。
以下のようなケーススタディを読んで、3つの質問をグループで考えます。
「ソティ君はカンボジアの一般的な家庭に育った14歳の中学生です。両親が食事や衛生など、彼の身の回りの世話をしてくれるおかげで、彼はとても健康です。また、両親は彼が学校に通うことや勉強することを励ましてくれます。さらに「息子が必要なものを自分で買えるように」と彼が中学生になってからはお小遣いを渡しています。
ある日、両親はソティ君が以前から欲しがっていたバイクを買って、彼にプレゼントしました。バイクのおかげで、ソティ君の通学は楽になり、勉強する時間が増えただけでなく、友だちとスポーツをしたり、いろいろなアクティビティに参加することができるようになりました。
しかしその半年後、彼はバイクを運転中に交通事故に遭ってしまいました。足と肋骨をひどく骨折したため、一時は学校を休み、その後も一年近く通学に支障をきたしました。
彼の両親は、彼を早く回復させようと多額の治療費を支払いました。」
質問1:ケーススタディの中で、ソティ君はどんな「子どもの権利」を享受していますか?
質問2:ケーススタディの中で、ソティ君の両親は、彼のどのようなニーズに応えていますか?
質問3:あなたがソティ君親だったら、彼の「ニーズ」にどう応えますか?
ピア・エデュケーターは3つのグループに分かれて話合い、最後に発表しました。
「ソティ君は、子どもの権利の4つの柱のうち『生きる権利』『育つ権利』『参加する権利』を享受しているけれど、『守られる権利』が足りない。理由は、まだ幼いのに、バイクをもらった。バイクの運転の仕方や交通ルールを教えてもらっていないので、とても危険。」、「ソティ君の両親は、彼をとても愛しているので、彼のニーズに応えようとしている。例えば十分な食事やお金を上げている、スポーツやアクティビティに充てる時間も保障している。その結果、ソティ君は不自由のない充実した生活を送っている。」、「どんなことに使うかわからないのにいつもお小遣いを渡すのは良くない。」、「子どものニーズに応えるときに、両親は注意深く考える必要がある。」、「すべての親は『子どもの権利』を知っていなければならないと思う。」等の意見が挙げられました。
最後にCCPCRのトレーナー・ソピアさんは、
「まだバイクを運転するには幼いソティ君にバイクを買ってあげるのは危険をともなう。『守られる権利』が損なわれるし、法律(バイクの運転は16歳以上)にも触れる。万が一事故に遭ってしまったら、子どもは『生きる権利』も『育つ権利』も『参加する権利』も失うことになる。両親は、子どもを『守る』ことを常に考えなければならない。」
とフォローしました。
子どもの「ニーズ」についても、
「子どもには当然ニーズがあるが、本当に必要な物事かどうかを見極めなければならない。例えば、中学生くらいになると「髪の毛を染めたい」というニーズがあるかもしれない。でも、それよりも大切なのは身体をいつも清潔に保ち、きれいに洗濯した服を身に付け、健康であること。」、「権利は誰にも平等に保障されている。だから、ほかの人の権利も尊重しなければならない。ニーズによって、自分やほかの人の権利を侵害してもいけない。ルールや責任を守らなければならない。」
という説明もありました。
ピア・エデュケーターたちは、「研修は楽しかった」「知識を得られてよかった」「次回の研修もぜったいに参加する」とうれしい感想を残してくれました!