カンボジアだより
2015年08月17日
こんにちは。インターンの八野井めぐみです。
米国務省による2015年度人身売買報告書が今年7月に発表されました。
この報告書は各国の人身売買の実態と政府の対策を4段階にランク付けするもので、カンボジアは、今年も下から2番目の「監視国リスト」という政府の努力がみられないという悪い評価にとどまりました。法律の実行に向けて、政府や地域社会の包括的な取り組みが必要とされています。
今回は、この報告書に対するプノンペンポストの記事の翻訳を紹介します。
人身売買対策 評価据え置き
プノンペンポスト紙
2015年7月28日 Stuart White記者
※写真は、インドネシアでの奴隷労働から救助されカンボジアに送還された漁師たち
米国務省の人身売買に関する年次報告書において、カンボジアは3年連続「ランク2監視リスト」に据え置かれた。これは政府の対策が不十分であることを反映している。
ランク2は米国の人身売買被害者保護法(TVPA)の最低基準を満たさないが、対策に「著しい努力」がみられる国を示すものだ。
一方監視リストとは、被害者保護及び加害者・共謀する政府関係者の処罰など、深刻化する人身売買に対する「努力の進展」がみられないことを意味する。
人身売買されたカンボジア人労働者の主要な送り先国であるタイなどのランク3の国は、最低基準を満たさず、改善への努力もしていないとみなされている。
報告書によれば、「カンボジア政府は、人身売買撲滅の最低基準を満たす相当の努力が認められるだろう計画を作成しており、計画の実行のために十分な資金をあてているため、ランク3への格下げを免れた。」という。
報告書はまた、「訴追・有罪判決への緩やかな進歩」のような特定の分野で、カンボジアのある程度の進歩をみとめている。
政府は強制措置に関する資料を提示していないが、さまざまな媒体から得られた情報によれば、2014年29人の人身売買ブローカーが有罪判決を受け、2013年の18人に比べて増加がみられたという。
子ども買春は確実に減少したとする一方で、「かつてカンボジアの買春目的の子どもの売買の中心地であったプノンペン市外のSvay Pak地域は、今ではベトナムからの性的目的の人身売買の中継地となっている。」とも指摘している。
増加している人身売買の男性被害者に対して、「政府は保護に取り組んでこなかった」という。
米国務省はまた、性的目的の人身売買の覆面調査が滞っていること、「脆弱で腐敗した法システム」、そして国外の被害者に対する外交的な支援に欠けていることなど、長い間人権団体に批判されてきた事実に言及した。
しかし昨日、政府のスポークスマンであるPhay Siphan氏は、カンボジア大使館は人身売買の被害者を本国に送還する制度が整っていないという主張を否定した。
「外務省は人身売買の対策に非常に積極的である。」と述べ、中国で強制結婚させられた何十人もの女性を本国へ送還したことをとりあげた。
「大使館は被害者の受入れ・電話相談の制度を整えている。」
Siphan氏は、「我々が対策に取り組んでいるのは確かである。移民を引き付け、搾取へと誘い込む原因を政府は取り除こうといている。一つは、教育。次に、生活の向上、そして賃上げやよりよい仕事の機会の提供を通じて、政府は取り組んでいるのである」と話している。