カンボジアだより
2010年04月23日
こんにちは、長島です。3月15日から22日まで第9回シーライツ・カンボジア・スタディツアーが実施されました。日本より学生の方3名と、社会人の方2名が参加して下さり、シーライツの現地パートナー団体事務所やプロジェクト地を訪問しました。今回はその際に参加者の方々から出たQ&Aの一部を中心にレポートしたいと思います!
1日目は、現地パートナー団体HCCとの協働で行っている、子どもの人身売買・児童労働防止プロジェクト実施地であるスバイリエン州コンポンロー郡を訪問しました。スバイリエン州はカンボジアの南部の州で、ベトナムとの国境近くに位置しています。2009年度からの新しい事業地であるコンポンロー郡は、スバイリエン州のなかでも特に、ベトナムに物乞いの出稼ぎに出される子どもが多く、いつも子どもたちは人身売買や児童労働の被害に遭うリスクにさらされています。
【SBPN訪問】
コンポンロー郡の小・中学校で昨年の10月に結成されたばかりの、10名の子どもたちと2名の教師による学校単位の人身売買・児童労働防止ネットワーク(School Based Prevention Network=SBPN)を訪問しました。このネットワークは、子どもの権利や、出稼ぎによる人身売買の被害にあう危険性、児童労働の定義などについて研修を受けた子どもたちで構成されています。訪問時には、クサエ小・中学校の5年生から7年生のSBPNメンバー20名が教室に集まって、メンバー同士で、自分たちが学んだことや、SBPNではどのような活動をしているかグループディスカッション後に発表をしてくれました。
Q:研修ではどのようなことを学びましたか?
A:ドメステッィクバイオレンス、出稼ぎ、人身売買業者の騙しの手口、麻薬やアルコール、たばこの危険性について学びました。
A:児童労働が勉強の妨げになるのに対して、家の仕事を手伝うことはそうならないことも学びました。
A:人身売買の加害者は15年から20年の刑罰を受けることも学びました。
Q:SBPNではどのような活動をしていますか?
A:メンバーで集まってミーティングをしたあと、学校や家の近所で、他の生徒や友達、近所の人に対して子どもの権利、人身売買、人身売買業者の騙しの手口などについて啓発活動をしてます。そしてそれを記録して、校長先生や先生に報告しています。
A:HCCから受けた研修で学んだ内容を、先生と一緒におさらいしたりしてます。
Q:活動をするなかで、困難なことはありますか?
A:自分より年上の生徒に学んだ事を伝えようとしても、「年下の言うことなんて信じない。」と言われてしまった。ポスターとか、教材とかあるともっと信じてもらえると思う。
(シーライツでは、人身売買に関するポスターを作成し事業対象地に近日中に配布するので、SBPNの啓発活動にも役立つかと思います。)
Q:今後のSBPNの活動計画を教えて下さい。
A:SBPNの活動をずっと続けたい!
A:活動内容を改善したい。
A:SBPNをエンパワーしたい。
少し緊張しながらも、はきはきと誇らしげに発表してくれるメンバーの姿を見て、参加者の方々は感心されていました。参加者の一人が代表して「これだけのことをみんなの前で発表できるのはすごいことだと思います。一生懸命活動していて素晴らしいですね、活動を続けて他の子どもが被害にあわなくなるように頑張って欲しいです。」と励ましのメッセージをメンバーに投げかけてくれました。
この後のランチは、村の家庭で魚料理をいただき、カンボジアの家庭料理は美味しい!との反響でした。そして庭で食用として煮ていたアリ(結構大きめ)を試食するチャレンジャーな参加者の方もいてたくましさを感じました!
【通学支援】
人身売買や児童労働の被害に遭うリスクの高い貧困家庭の少女を選定し、制服、カバン、学用品、米などを支給して通学の支援を行っています。2006年度から学用品はのべ180名に、米はのべ220名に支援していますが、2009年度に新たに支援を受けた50名のうち、5歳から12歳、1年生から12年生の9人の少女がある家庭に集まってくれてインタビューに答えてくれました。
インタビューの様子cシーライツ
Q:通学支援でもらったもののなかで何が一番嬉しかったですか?
A:全部!(同じ回答が他の子たちからも・・・)
A:制服!
Q:何をすることが好きですか?
A:勉強!(同じ回答が他の子たちからも・・・)
Q:将来は何になりたいですか?
A:先生。(同じ回答が他の子たちからも・・・)
A:会社員。
近くに座っていたお母さんたちから、子どもになって欲しい職業らしき発言が飛び交い始め、HCCスタッフが、「子どもたちに発言させてくださーい!」と介入。
Q:先生以外でしたい仕事は?
A:プノンペンの縫製工場で働きたい。
Q:学校に行く以外の時間は何してますか?
A:読書。
A:家の手伝い(家畜の世話、水汲み、子守、畑仕事、料理、皿洗い)
参加者の方から「えらいね!」の声。
Q:牛の世話したことないんですが、どんなことするのですか?
A:牛を餌があるところに連れて行きます。
A:暑い時は、牛に水をかけて水浴びさせる。
Q:今まで学校に行くのを辞めたことがありますか?
A:3人があると回答。
Q: なぜ辞めたのですか?
A:忙しかったからです。
カンボジアの、特に農村部の子どもはとてもシャイな子が多いのですが、初めての外国人との会話で、とても緊張している様子でした。もう少し長く時間を一緒に過ごせたら、打ち解けてくれたかなと思いつつ、次のインタビュー先へ。
【収入向上支援】
人身売買・児童労働の被害に遭うリスクの高い少女がいる貧困家庭を、収入向上支援の対象として選定し、牛の貸出し、牛の飼育方法、農業技術や家庭菜園方法の研修・指導、灌漑ポンプと井戸、野菜種の支給を行っています。また、市場の高利貸しから高い金利でお金を借りずに済むように、貯蓄組合兼自助グループを作っています。2009年度に新たに支援を受けた20家庭のうち3家庭の母親と子どもが、ひとつの家庭に集まって話をしてくれました。
こちらでは、冗談も交えた自己紹介から始まり、和気あいあいな雰囲気でスタート。
インタビューに答えてくれた収入向上支援家庭cシーライツ
Q:収入向上支援を受けてからどのようなことが変わりましたか?
A:野菜の栽培方法を学び、自宅で栽培した野菜を市場で売り、現金収入を得ることができました。
A:たい肥の作り方を教えてもらったので、買わなくてよくなったので助かっています。
A:お金の貯め方を学びました。
Q:1日をどんなふうに過ごしますか?
A:朝早く起きて、野菜に水をまいたりしています。そして子どもを学校に行かせる準備をして、忙しい時は、朝ごはんを食べる時間もありません。お昼には子どもの食事をさせて、午後は家事をして過ごします。
A:ベトナムとの国境沿いで、兄弟と一緒に一日中たばこやお酒を売っています。働いている間は近所の人に子どもを見てもらっています。
A:1日中ゴザを作っています。
Q:(子どもへの質問)私が子どもの頃はよく姉妹でケンカをしましたが、あなたたちはしますか?もしするとしたらどうやって仲直りしますか?
A:お菓子のこととかで喧嘩します。軽いキックとかして攻撃したり・・・。でもお互い何も言わなくても自然に普通に戻っています。
参加者の方々からは、農村の生活が見れて、話をさせてもらったことでどのような生活をしているのかさらに分かって良かったなどの声がありました。スバイリエンの滞在は1日のため、インタビュー後はバスで3時間程のプノンペンへ移動。
次回は、AFESIPとフレンズ訪問についてレポートしたいと思います。