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2021年06月28日
認定NPO法人国際子ども権利センター(以下、シーライツ)では2004年からカンボジアで人身売買・児童労働防止活動を実施してきました。子どもたちに学ぶ権利を伝え、出稼ぎに行ったり、物乞いとして働いたりする代わりに学校に行くことを選択するようはたらきかけてきました。
その結果、地域の子どもたちが物乞いをやめて学校に通うようになり、また、図書室で本も読むようになりました。子どもたちは、本を読むことにより、自信がつき、ディスカッションで意見を言えるようになったと話しています。
しかし、昨年度、カンボジアでは、コロナによって長期間休校となり、地方の農村では学ぶ権利が保障されていません。シーライツの事業地のほとんどの家庭では、教科書以外の本が一冊もないという状況で、休校中に自分で学びを深めるのは困難でした。そんな子どもたちに、コロナ禍に家庭でも本を読めるような環境をつくり、独学できたらという思いがあります。
カンボジアでは、内戦終結後、小学校建設によって初等教育の就学率や識字率は大幅に向上しました。しかし、カンボジアの生徒の読解力は依然として低いままです。2016年に途上国枠で参加した、OECDが実施する国際学力テスト・PISA-Dにおいて、カンボジアの生徒の読解力は世界最低レベルでした。
OECDによれば、読解力とは「自らの目標を達成し,自らの知識と可能性を発達させ,効果的に社会に参加するために,書かれたテキストを理解し,利用し,熟考する能力」です。たとえ字の読み書きができたとしても、この能力がなければ、社会に出て仕事をするのは困難です。そこで、カンボジア教育省は読書の普及に取り組み始めました。しかし、カンボジアでは母国語の書籍、書店や図書館の不足もあってか、読書習慣を持っている人はごくわずかです。
今回のチャイルドライツ・カフェでは、カンボジアの教員養成校からの依頼を受け、現地の教育NGOとともに、同校でのアクティブラーニングの読書科目を開発している中村健司さんをお呼びして、読書を通じたアクティブラーニングについてお話をしてもらいます。中村さんは、僻地の若手校長先生たちの協力を得てプログラムを開発し、現在、同校の教官たちと練習を重ね、11月からの正式導入に向けて、チーム一丸となって準備をしています。
実は、中村さんはシーライツの事務所が大阪にあった頃、運営委員(現在の理事)をつとめていました。
以下、中村健司さんからのメッセージです。
「今回のチャイルドライツカフェでは、小学校の不足以外のカンボジアの教育の課題、子ども好きの私がなぜ教員のサポートにこだわるのか、開発段階から若手校長先生に参画してもらったのはなぜか、なぜ読書なのか?なぜアクティブラーニングなのか? そして、それは、カンボジアの子どもの権利にどんな影響を及ぼすのか?についてお話したいと思います。また、国際協力や支援活動にとどまらず、日々の仕事や学び、人材育成などに役立つ視点をみなさんと共有できればと思います。」
〔スケジュール/2021年7月17日(土)20:00-21:30〕
20:00-20:05 主旨説明
20:05-20:40 中村健司さんのお話
20:40-21:00 対談 中村健司さんと甲斐田万智子
21:00-21:25 質疑応答と懇談会
〔講師プロフィール〕
■中村健司
関西大学法学部、同大学院法学研究科修了、イギリス・ハル大学大学院グローバリゼーションとガバナンス修了。ラーニングファシリテーターとして、発展途上国・新興国の教育機関、NGO、企業で、人やチームが学ぶことを楽しみ、成長するのを支援。NGOでの活動、フィールドワーク、日本とイギリスの大学院での研究、カンボジア料理店の開業と経営といった多様な経験を活かした企画サポートや講演も行う。モットーは、学術研究を活用できる現場の実践者であること。好きな本を持ち寄る事前読み不要のオンライン読書会、自ら問いを作り課題を解決する問いトレなど、学びを楽しむワークショップ多数。
■甲斐田 万智子
NPO法人国際子ども権利センター(C-Rights)代表理事。文京学院大学教員。広げよう!子どもの権利条約キャンペーン共同代表。編著『世界中の子どもの権利をまもる30の方法』(合同出版)、共著『SDGsと開発教育 持続可能な開発目標のための学び』(学文社)、共編著『小さな民のグローバル学:共生の思想と実践を求めて』(上智大学出版)共著『対人援助のためのコミュニケーション学:実践を通じた学際的アプローチ』(文京学院大学総合研究所)ほか。
〔参加費・参加方法〕
参加費は無料です。オンラインにて開催いたします。
7月16日(金)までに下記URLよりお申込みください。
お申込みいただいた方に参加用のURL(ZOOMを利用予定)を送付いたします。
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