お知らせ
2013年08月29日
8月21日、カンボジア駐在スタッフの上田美紀の一時帰国にあわせて、NPO法人WE21ジャパンンちがさき様に、活動報告会を開催していただきました。
WE21ジャパン様は、神奈川県を中心に資源の「リユース」「リサイクル」活動を推進する「WEショップ」を56店舗も展開されています。また、アジアでの民際協力活動や政策提言活動にも取り組まれ、3年前からシーライツをサポートしてくださっています。
報告会には、ほかの地域からも熱心なWE21ジャパンのメンバーが参加してくださいました。
始めに、事業地の「タナオコミューン」の地理、住民の暮らしぶり、人々が抱える問題についてお話しました。ベトナムの国境沿いに位置していることからベトナムの影響を受けやすく、例えば、育てた米や家畜を安価でベトナム人に販売せざるをえなかったり、逆にベトナム産の化学肥料や農産物を高値で購入させられています。効率の悪い方法で稲作を行っているため収入は低く、発展を遂げたベトナムへ違法な出稼ぎや物乞いに行く住民があとをたたない、子どもまでもが物乞いに出され、学校に行く機会を奪われている、住民同士のネットワークも乏しい、という現状を写真を使って説明しました。
次にこれらの問題、とりわけ「子どもが物乞いや出稼ぎに出されて、教育を受ける機会を奪われている」という問題の解決に向けて、シーライツが取り組んでいる事業についてお話しました。具体的には、「子どもに対する啓発活動」と「おとなに対する生計向上支援活動」の2つが挙げられます。ここで重要なことは、シーライツは事業のフレームづくりは行いますが、事業の主導権は「住民」にある、という考え方です。「自分たちの手で地域を良くして行こう」と思ってもらえなければ、持続可能な活動とはいえません。それなので、活動においても「子どものリーダー」「農家のリーダー」を生徒・住民の推薦を経て選び、トレーニングを通じて、地域のリーダーとなれるよう育成しています。彼らが中心となって、子どもから子どもへ子どもの権利に関する知識や教育の大切さが広まっていくこと、農民から農民へと生計を安定させられるような農業技術が伝わっていくことが期待されます。
同時に、活動を広めていくためには、地域の人々の協力が不可欠です。お互いを助け合えるような風土を築き、いずれは、「ふるさと」と呼べるような地域になってほしい、というシーライツの想いをお話しました。
理想的ともいえる事業システムを紹介しましたが、活動をすすめる上での困難も多くあります。たとえば、学校の先生と村人で「子どもが学校に通い続けられるためにはどうしたらよいか?」という意見交換会を持った時のことです。先生も村人もお互いに対する不満を抱いているので、話合いはなかなかまとまりませんでした。村人が「先生はきちんと授業をしていない」と言えば、先生は「そうはいってもタナオのような僻地へは教育省や教育局からの指導要綱や教科書も十分に届かない、自分たちだって困っている」と言います。このような状況の中、シーライツのファシリテーションによって、「村人全員の合意のもと、先生の給与を村人が補てんして、子どもたちのためにきちんとした授業をしてもらう」という画期的な方法が検討されました。タナオコミューンには11の村があるので、まだ11ヵ村全てで合意が得られてはいませんが、粘り強く話し合いを続けていくつもりです。
そして、事業開始から5年をめどに子どもの物乞い・出稼ぎをなくしたい、という目標をお話ししました。
今回講演を聞いてくださった皆さまが、タナオの子どもたちのためにシーライツの「サポートチーム」の一員となって、カンボジアでの活動を応援してくださると大変うれしく思います。
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