報告
2012年04月17日
2012年3月31日(土)に東京大学駒場キャンパスで『フォトジャーナリスト安田菜津紀×C-Rights ワークショップ 子どもたちに寄り添う社会をめざして ~カンボジアの現場から』を開催しました。
悪天候の中、高校生から社会人まで22人の方にお集まりいただきました。
シーライツスタッフの小和瀬による開会の挨拶のあと、代表理事の甲斐田によるシーライツの活動紹介がありました。この中で、カンボジアでの事業紹介のほか、昨年の東日本大震災で福島の子どもが毎日放射能の不安を感じるなか、海外のみならず日本の子どもにも目を向ける必要性を訴えました。
続いて、フォトジャーナリストの安田菜津紀さんによる講演がありました。安田さんは、撮影された写真と共にカンボジアの食生活、歴史などを紹介した後、カンボジアで知り合ったHIVエイズに苦しむ人々の様子を話してくださいました。HIVエイズ以外にも、カンボジアが抱える問題を紹介され、「支援」というのは、モノを渡すだけではない、もっといろいろな支援の形がある、とお話されました。
次に、6グループに分かれて「国際協力にはどのような形があり、それはどのようにグループ分けができるか」、についてディスカッションを行いました。
安田さんはディスカッションを受けて、「例えばNGOは子どもたちに寄り添って現地に残ることができるが、世界に発信することには限界がある。逆に自分は、現地に残ることはできないが世界に発信することはできる。1人1人ができることを持ち寄ることで大きな力になる。」と話され、「問題に直面している当事者たちの声を拾い続けるのが私の役目だ」と締めくくりました。
後半は、シーライツ代表理事・甲斐田による講演から始まりました。カンボジアの子どもたちが性的搾取や児童労働、人身売買などの被害にあっていることを紹介し、「子どもの権利条約」が周知されていないことを指摘しました。その上で、地域・国・国際という3つのレベルから、子どもの権利に基づいた支援であるライツ・ベース・アプローチを行うことの重要性を訴えました。
グループディスカッションでは、「子どもの力を引き出す支援とは何か」を考えたあと、過酷な児童労働に従事する少女の事例を読み、「自分がNGOの職員だったら何ができるか」を話し合いました。参加者からは「相手との関係を守り、継続して支援に取り組むことが重要なのではないか」、「少女だけでなく、その親も支援することができるのではないか」などの意見が出されました。
甲斐田はディスカッションを受けて、「子どもに影響を及ぼす決定をするときに、プロセスのすべてで子どもの声を聴くおとなを増やしていくこと」、「子どもの力を尊重し、パートナーとして期待すること」の必要性を訴えました。
また、「子どもへの啓発活動を通じて子どもに自分の権利を知らせ、子ども自身が自信をつけることが抑圧や搾取をはねのけていくパワーとなり、子どもが積極的に参加できる社会を作っていくことにつながる」と伝えました。
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