報告
2014年06月23日
4月26日、子どもの権利条約批准20周年記念連続セミナーの記念すべき第1回が開催されました。カンボジアの二人の女性と性的搾取を乗りこえようとする子どもたちを描いた”Redlight”というドキュメンタリーを見たあと、子どもたちのエンパワーメントについてファシリテーターの南雲さんのもとグループで話合いながら考えていきました。
40名を超える方々にご参加いただきました ©C-Rights
”Redlight”を見た後のグループワークでまず感想を出しあったのですが、「子どもの売買が単純な労働力としてではなく、性的な搾取にまで及んでいるとは思わなかった」「子どもを売買するということ自体が社会的に悪とされていない倫理観がおかしいと思う」「こんな語るのも辛いような現実は、貧困だけでなく一人ひとりが社会的、組織的に問題を抱えているのかもしれない」というような意見が挙がりました。
ドキュメンタリー作品 ‘Redlight’ ©C-Rights
次に子どものどんな権利が侵害されているか、その権利を守る主体は誰であるかについて話し合いました。考えついた権利を模造紙に書き出し、その後子どもの権利条約の条文を見ながら考えていきました。具体的には「生存する権利」「教育を受ける権利」「意思決定の権利」などが挙がりましたが、グループで出た意見が実際にどの権利侵害に関係しているのかをみてみると、想像以上に細かく権利が存在していると感じました。権利を守る人についても、親や家族といった身近な人々から、子ども買春を手助けしてしまうような関係者であるホテル経営者やタクシー運転手といった人々までたくさんの意見が挙がりました。そして、ディスカッションを発表した1つのグループが、子どもの権利を守る人として、「子ども同士」と挙げていることに注目し、「被害を受ける可能性のある子ども自身も子どもを守る力を持っているということが大切!」とシーライツの甲斐田代表が指摘しました。
©C-Rights
甲斐田代表は、①子どもたちや親に依存心をもたせてしまう援助の危険性、②子ども自身が問題を分析し、社会に発信し、自分たちの権利を守ろうとする「子どものエンパワーメント』、③おとなが子どもの主張を受け止める「子どもの権利に基づくアプローチ(ライツ・ベース・アプローチ)」の三点に焦点をあてて話をしました。
©C-Rights
子どもたちに支援し、目の前の子どもたちは救われてもカンボジアのほかの地域の子どもたちはどうでしょうか。また、権利の視点がなければ、長期的に見たときに子どもたちは人権侵害の被害に遭ってしまわないでしょうか。という問いかけ。
子どもたちの主体性や、地域住民による社会づくりに与える影響について考えさせられました。国際協力には、子どもたち自身の積極的な参加と発言、社会を変える力を促す活動が必要となってくることがわかりました。実際に現地で活動ができない状況であっても、権利を持っている子どもたちの視点に立ち必要な支援がどのようなものか考え、その場でできる活動から挑戦していきたいと思いました。
(シーライツユース 山田瑠璃子)
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