報告
2014年09月24日
8月23日(土)と24日(日)に行われた「第3回アジア子どもの権利フォーラム2014 in モンゴル」に代表理事の甲斐田と理事の南雲とともに参加したインターンの橘田が、フォーラムの様子をご報告いたします。
写真左手前がインターンの橘田 ©C-Rights
国連子どもの権利条約は、今年、国連で採択されて25周年になります。そして、開催国であるモンゴルは1990年7月5日に批准しており、日本よりも4年早い批准となっています。
150名近くが参加した今回のフォーラムは3つのセッションに分かれており、①最悪の形態の児童労働の禁止と教育への権利の保護、②子どもにやさしいまちづくりの発展と子ども支援、③アジアにおける子どもの権利保障機構の構築がテーマとなっていました。
6カ国(モンゴル、インド、インドネシア、カンボジア、韓国、日本)から参加したスピーカーは上記のテーマについて現状、課題、改善点などを報告しました。
このうちセッション①のモデレーター(進行)役を甲斐田代表理事がつとめ、インドとカンボジアで児童労働にかかわるNGOで活動し、シーライツとゆかりのある報告者を紹介しました(CWCのガナパティ氏とLSCWのヴィチュタ氏)。
カンボジアから参加のヴィチュタ氏(写真真ん中) ©C-Rights
モンゴルの子どもの権利状況として、政府は子どもたちのことを巻き込んで改善しようとしているが未だに改善されていない部分があります。例として、子どもに対する暴力(文化的、伝統的なものも含まれている)、遊牧民族の問題などが挙げられていました。その中でも児童労働問題が最優先改題として取り上げられていました。
2008年に行われたジュネーブ会議では児童労働のことを挙げていたが改善にまで至っていないとのことです。むしろ、親が子どもを保護しようとする姿勢をとっていないことが多く、最悪の形態の労働をさせられている子どもであったとしても家族やその周囲にいる大人が防ぐことができていません。また、モンゴルでは競馬(Horse racing)が大きな問題となっています。2011年には法により子どもが競馬に参加することが禁止されましたが2011年以降の報告によると15名の子どもが競馬から落ちて障害を負ってしまっているとモンゴルの労働省の方がおっしゃっていました。
一方、モンゴルでは第3議定書の個人通報制度を批准し今年からフリーダイヤルが開始されるとのことでした。
写真右奥から、2番目・橘田、3番目・南雲 ©C-Rights
私が今回個人的に興味を持っていたのは、インドのガナパティ氏(Mr,Ganapathi Magalu)の報告です。彼はCWC (The Concerned for Working Children)の団体に所属しており、子どもの権利の中でも子ども参加を大切だと思っている方です。彼がスピーチで話した内容は「子どもたちと活動をする時は子ども、若者の声を聞くことが基本である。本当の意味での子ども参加とは子どもが本当に参加しているかであり、私たち大人がいかに子どもの意見をその決定事項に組み込んでいるかである。それは決して大人が決めた内容ではなく、子どもたちが本当に望んでいる内容だから。そして、私たちの大きな役目としては子ども、若者の意見や感情をファシリテートしていかに引き出すことができるかということである。」と話をされていました。
子どもたちの本当の力を信じ、行動し、能力強化をしている様子がよく分かった報告でした。
CWCのガナパティ氏 ©C-Rights
これ以外にも、子どもの最善の利益を考えて活動している報告や”Child Friendly City”(子どもにやさしい町づくり)を実行している報告など、子どもの権利を研究している私にとってはとても情報量が多いフォーラムであったと感じています。
今回のフォーラムを通して、国の数だけ歴史があり、文化があり、価値観があり、そしてその中で生きている人の数だけ、その人の歴史があり、文化があり、価値観があることを感じました。法律や条約、様々な制度を、国単位で導入し、それにあった政策を展開させていくことは、そう簡単なことではありません。当たり前のことなのですが、制度が整っても、それにより救われる子どもとそうではない子どもがいます。
人々の意識が変わらなければ、社会が大きく変わることはないのだと私は考えさせられました。少しずつ、子どもの権利について発信し、社会へ示していく、それを続けていくことが大事なのだと学びました。
シーライツ・インターン 橘田美優
Recent News