報告
2013年11月28日
前回は、子どもの権利条約フォーラム2013の「カンボジアの子ども」に関する分科会の様子をお伝えしましたが、今回は、11月17日の午後に開催された分科会「子どもの権利から考えるふくしまと世界の子どもたち ~子どもの権利条約は放射能とたたかうおかあさんの武器になるか」の様子をご紹介します。
こちらの分科会には、女性、特に子育て世代の女性の参加が目立ちました。中には、お子さんをあやしながら参加してくださったお母さんもいました。
まず、パレスチナや福島、子どもの権利などの活動に関わっている司会の大河内秀人さん(シーライツ・監事)から、カンボジアもパレスチナ、福島の原発震災も、一部の人びとの利権のために多くの子どもたちが苦しみ、命の危機にさらされているという話がなされました。
写真、左から大河内秀人さん、森沢典子さん、佐々木るりさん、シーライツ代表理事・甲斐田
その後、二本松市から福島の現状を全国に発信している佐々木るりさんと『パレスチナが見たい』の著書であり浦安在住の森沢典子さんから、それぞれが被災されたときのお話や放射能に対する取り組みをお聞きしました。
お二人からは、目に見えない放射能におびえる毎日で、親がどんなに気をつけても、子どもたちが危険に脅かされていることへの大きな危機感が伝えられました。また、事故直後は、まわりの友人たちに放射能についての情報を伝えたところで、かえって嫌煙されてしまったという話もありました。
お二人の震災、パレスチナの話で共通していたのは、周囲に理解してもらえないことへの悲しみ、そして真実が隠されていることへの危機感でした。まずは知ってもらうこと、関心を寄せてもらうことが大事だと話されました。
最後に、シーライツ甲斐田から、子どもの権利条約がどのようにすれば放射能とたたかうお母さんたちの武器になるのか、あまりにも深刻な問題をつきつけられ、簡単には答えられないが、まずは子どもの権利条約を知ってもらい、それをどのように活かせるか、一緒に考えていきたいとのコメントがありました。
この分科会を振り返ってみると、子どもの権利実現においても、福島の子どものことは重要なテーマであることを痛感しました。シーライツでは、福島の子どもの声を何回か聞いていますが、今回の母親という立場からのお話だとまた異なった角度から理解をすることができ、それぞれの立場で語ってもらうことも大事だと感じました。
「子どもの権利条約は放射能とたたかうおかあさんの武器になるか」というサブテーマは、非常に大きく、今後引き続き探っていきたいと思います。
子どもの権利を考える場において、国内・海外・被災地などの枠を超えて、様々な視点から考えることで、共通点が見えてきたり、解決のヒントが見えてくるのではと改めて思いました。
原発問題という非常に大きなテーマではありますが、子どもの権利の視点から考え、自分たちにできることから取り組んでいきたいと改めて思った分科会でした。
(シーライツ理事・渡邊)
【参加者からの感想】
■報道だけでは知ることができなかった実際の福島の子どもたち、子育て、家庭の置かれた状況を知ることができました。避難区域外で、いまだに高線量が出ているとは全く認識がありませんでした。放射能と同じく、権利も見えません。見えないものと向き合う苦労をしみじみと実感するとともに、それこそが子どもの未来に寄り添うおとなの義務なのだと感じました。
■原発事故から年数が経つにつれ、子どもたちへの影響(運動不足、肥満、甲状腺ガン)も刻々と変化していることを実感しました。子どもたちがのびのび育つ権利が奪われていることを感じます。福島の問題を「フクシマの問題」と区切るのではなく「私たちの問題」として、これからも考え、行動していきたいです。
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