お知らせ
2020年09月5日
こんにちは。シーライツインターンの柳葉です。
今回は、『甲斐田さんに聞いてみた』第一回企画の最終回となります。これまでのインタビュー記事を通して、子どもを取り巻く様々な課題、子どもの権利条約の重要性、また、子どもの権利を守っていくために私たちがしなければならないことなど、理解が深まったのでしたら嬉しく思います。最後までぜひお読みください。
8.子どもの権利の実現に向けては、どのような取り組みが必要なのでしょうか?
・たくさんあるとは思いますが、あらゆることを子どもの権利のレンズを通してみることが大事ではないでしょうか。子どもの権利の視点で見ないとどうなるかというと、「貧しいから、移民の子だから、障害を持っているから仕方がない」というように片付けられてしまうように思います。一方で、権利の視点を取り入れると、どんな子どもでも差別されない、平等な権利があるという視点で見るということになります。どんなに大変な状況でも、ほかの子どもたちと同じように、ちゃんとした教育を受け、楽しい生活を送れるように、おとなや責務履行者が責任を果たしていかなければならないという意識に変化します。子どもが置かれた状況を、それは権利侵害が起きているのではないかという視点で見る。もし、権利侵害が起きているなら、権利を保障している人がもっと責任を果たさなければなりません。そして、誰が責任履行者なのかを特定し、やる気がないのか、やる力がないのか、権限がないのか、コミュニケーション能力がないのか、経済力がないのか、など、なぜ責務履行者がその子どもの権利を保障できないのかを分析します。これらのポイントにそって、原因がわかったら、その原因を解決するための方策を考えて実行していきます。例えば、移民の子どもたちが学校で苦労していたら、研修や経験豊富な能力のある先生が配置されるように教育委員会に働きかけたり、通訳が足りないなら、予算を取って子どもが日本語と母語を学べるように保障してくださいと、文部科学省に要請したりしていきます。そのために、子どもたち自身と市民社会が働きかけていくことが大事だと思います。
9.日本社会における現在の『子どもの権利わがまま論』の状況についてどう思われますか?
・『子どもの権利わがまま論』は今でも根強いようですね。「女や子どもは黙って聞いてろ」という考え方が強く、そういう人たちが選挙で選ばれてしまうと、法律も政策も変わりません。『ジェンダー』という言葉や男女平等という言葉が日本であまり使われないのも、女性が権利を訴えることに反発する人がたくさんいるからだと思います。
・また、子どもの貧困が一番多いのはシングルマザーの家庭です。ジェンダーの考え方の中で、「離婚した女が悪い、自己責任だ、非正規労働でも仕方がない、夫がいなくて仕事を休むような人は正社員として雇えない」という価値観があります。だから、たくさん働いても、貧困のままという家庭も多く、そのジェンダーの考え方が変われば子どもの貧困も変わるのではないかと思います。
10.子どもの権利や女性の権利が特に尊重されている国について教えてください。
・北欧(スウェーデン、デンマーク、フィンランド)ですね。これらのジェンダーギャップ指数が高く、より男女平等な国では、子どもの権利も保障されているように思います。スウェーデンなどでは、最初からそうであったわけではないですが、体罰禁止を法制化したのは1979年と早かったですね。全員が体罰はよくないと思ってからではなく、世論の中にはまだ体罰を容認する人々がいる状況にあっても禁止する法律を作り、それと同時に広く啓発活動を行っていきました。少数派が積極的に活動していく中で、だんだん一般的になっていきました。今では、「叩く親はかっこ悪い」という認識が一般的になっているそうです。
・「ジェンダーギャップ指数」のように、子どもに関わる指数、「キッズライツインデックス」、「チャイルドプロテクションインデックス」などをメディアがもっととりあげて、日本における現在の子どもの権利状況が異界グローバルな基準に達していないかということを社会に発信していってほしいです。
以上で『甲斐田さんに聞いてみた』第一回企画は終わりです。
みなさんにとって子どもの権利について考える機会になったでしょうか?
未来をつくる子どもたちが笑顔で安心して暮らせる社会づくりに一緒に取り組んでいきましょう。
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