お知らせ
2020年09月3日
こんにちは。シーライツインターンの柳葉です。
2015年の国連総会では、2030年までに目指すべき17の目標である「持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)」が採択されました。SDGsには、貧困、健康、教育、ジェンダー、児童労働、子どもに対するあらゆる暴力といった、子どもに関連する様々な課題が含まれています。「誰一人取り残さない」という精神のもと、子ども自身も含む、多様な関係者とともに目標の達成に向けて取り組んでいく必要があります。
今回で甲斐田さんへのインタビューは第三回目となります。みなさんも一緒に子どもの権利について考えてみましょう。
7.時代が進むにつれて、世界中の子どもたちが置かれている状況や価値観は変化していくと思いますが、子どもの権利条約が採択されてから現在まで、変更や修正、追加などはされていますか?
・されています。
・子どもの権利条約選択議定書というものがあります。
一つ目は、2002年1月に発効した、『子どもの売買、子ども買春及び子どもポルノに関する子どもの権利に関する条約の選択議定書』です。子どもの権利条約第34条には、性的搾取から守られる権利について書かれていますが、それだけでは十分ではないことから、子どもの保護と、性的搾取防止のためにどうしたらいいかを細かく定めています。これは、条約とは別に批准することになっていて、日本は2005年に批准しました。
二つ目は、2002年2月に発効した『武力紛争における子どもの関与に関する子どもの権利に関する条約の選択議定書』です。日本は2004年に批准しました。子どもの権利条約が作られた1989年には、子どもが兵士になれる最低年齢は15歳未満で、16歳、17歳はまだ子ども兵士として徴募されることが許されていました。当時は子ども兵士がたくさんいて、いきなり修正するのは難しいと思われていたのですが、やはり、18歳未満の子どもが兵士になるべきではないということで、修正が加わり、子ども兵士の年齢を引き上げるためにこの議定書が作られました。加えて、どのように子どもたちを武装集団から引き離すのか、被害にあった子どもたちの回復や社会復帰に関わる内容なども、記載されています。また、別ではありますが、子ども兵士を使っていることを通告する制度についても定められています。
三つ目は、2014年4月に発効された『通報手続に関する子どもの権利条約選択議定書』です。もし、子ども自身が、権利を侵害されたと思って政府に訴えても、なにも対応してくれないことがあります。例えば、日本で外国人の子どもの親がオーバーステイによって母国に強制送還されたとき、これはいろんな意味で子どもの権利侵害になります。自分は日本で生まれ、日本で育ち、日本語しかできないとしても、国が決めた以上、どうすることもできません。このようなときに、国を超えて、子どもが直接子どもの権利委員会に通告できるのです。これは、とても大切なものですが、日本はまだ批准していません。批准したら変わっていくと思います。
・また、それぞれの条文を補完する形で、一般的意見というものがあります。子どもの権利条約に定められた権利が具体的には、どのような権利なのかが具体的に書かれており、これを読むと、実際にどのように権利を使っていくのか、また、どうやって条約を運用したらいいかが分かります。一般的意見という名前ですが、条約と同じように尊重されなければならず、法的効力があります。そのため、批准している国々はこれを守らなければなりません。
例えば、子どもの権利条約第12条の意見表明権を効果的に実施するために、一般的意見12号では、「意見を聴かれる子どもの権利」について、子どもに影響や圧力をかけてはいけないなど、細かく書いてあります。また、障害のある子どもの権利に関する一般的意見9号は「インクルーシブ教育を受ける権利」とも関係しており、それを達成するために何をしていくことが重要なのかなどについて書かれています。
・最近では、2017年に、移民に関わる一般的意見22号が定められました。理想的なことが書かれているようですが、これを定めたことによって、人々が「このように移民の子どもたちについて考えていかなければならないのか」と思っていけるような指針として大切だと思います。
・移民政策をとらないであくまでも一時的に労働力として外国人を受け入れるというのは家族のことを考えないということと同じです。日本へ来る外国人を単なる労働力としてしか見ていない。日本に移住する際、当然家族も一緒に来ることだってあるわけですが、まるで子どもはいないことになっているように思います。これは子どもの権利侵害でもあり、問題だと思います。
インタビューは次回に続きます。
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