お知らせ

オンライン無料報告会 ~緊急事態だからこそ伝えたい子どもの権利 アーユス仏教国際協力ネットワーク『町の灯』支援事業~

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2021年04月16日

 

【概要】

日時:2021年3月27日(土) 14:00-16:00

場所:オンライン(ZOOM)

参加費:無料

参加者数:39名

主催:認定NPO法人子ども権利センター(シーライツ)

後援:広げよう!子どもの権利条約キャンペーン

 

【スケジュール】

14:00 開始の挨拶

 

14:05〜14:15 「子どもの力 ~コロナ禍で聞かれた子どもたちの声」

(田中恭子さん 国立成育医療研究センターこころの診療部 児童・思春期リエゾン診療科 診療部長、子どもの権利条約総合研究所運営委員)

 

14:15〜14:55 「コロナによって子どもたちが受けた影響」(甲斐田万智子 シーライツ代表理事)

 

14:55 ゲストによるリレートーク

 

14:55〜15:10 「コロナ禍だからこそ必要な子どもの居場所」(西野博之さん 認定NPO法人フリースペースたまりば理事長、川崎市子ども夢パーク所長、フリースペースえん代表)

 

15:10〜15:25 「コロナ禍に家族やまわりのおとなの知識不足により苦しむLGBTQの子どもたち」(NPO法人ASTA))

 

15:25〜15:40 「コロナ禍にオンラインで性的搾取を受ける少女たち」(金尻カズナさん NPO法人ぱっぷす代表理事)

 

15:40 質疑応答

 

15:50 まとめ

 

16:00 終了

 

《「子どもの力 ~コロナ禍で聞かれた子どもたちの声」(田中恭子)》

田中さんは主に、コロナ禍で子どもたちがどんな状況に置かれているのか、

そして、コロナ禍の子どもに対するアプローチについて紹介してくださいました。

 

【コロナ禍の子どもたちが抱えている問題】

・教育・保育・療育・医療福祉等の閉鎖が子どもの心身に悪影響

→学校閉鎖によって、子どもの社会的交流が減少し、子どもが“抑うつ傾向”に陥ることも。また、家で過ごす時間が増え、家庭内暴力や虐待のリスクも増えた。

乳幼児健診の受診が減少し、子どもの健康上の問題を発見しづらくなった。

 

・感染への不安

小学生や中学生に向けたアンケートの結果から、

「感染するリスクが高いにも関わらず、

毎日登校するのが怖い、休校にしてほしい。」(中一女子)

 

「マスクが息苦しくて、鼻を出していると友達から注意されるのが嫌」(記載忘れ?)(小二女子)

「学校の感染対策が不十分。」(小二女子)

 

「周りの友達や大人のコロナに対する意識が低く、意識の差が浮き彫りになって、それを隠して過ごすことに疲れた。」(中二女子)

という声が上がっている。

 

これらの田中さんのお話を聞き、感じたこと

【子どもたちの意見】

・生徒の気持ちを知ってほしい。

・話し合いの場が欲しい。

・一人一人のアンケートを実施した方が良い。

・教員の精神的負担を減らすべき

 

これらの田中さんから挙げていただいた事例より、

➡子どもと一緒にコロナ対策を考える姿勢が前向きな結果をもたらすと信じる

事が大切だと感じました。

 

【子どもの心身を守るために私たちが出来ること】

・子どもと保護者の生活と健康の現状を明らかにする。

・問題の早期発見(肉体的な問題だけでなく、いじめや精神的な問題への気づき)

・予防・対策

・子どもたちや保護者の助け、安心、安全に繋がる具体的な情報提供

 

※国立成育医療研究センターでは、

子どもや大人を守るためのリーフレットを作成しているそうです。

ぜひ、チェックしてみてください!

『新型コロナウイルスと子どものストレスについて』

http://www.ncchd.go.jp/news/2020/20200410.html

 

 

《シーライツのあゆみ(事務局長 奥山より)》

・シーライツの歴史

・活動紹介→カンボジアプロジェクト、にじーずの活動紹介

・子どもの権利条約とSDGsは密接に結びついている。(性別、教育、移住などの権利で)

・外国にルーツを持つ子どもたちも、自らの文化・歴史・言語を学び、出身国の国民的価値を尊重する必要性や人権教育の大切さについて

・コロナ禍で、家庭内暴力やオンライン性暴力の増加

・女の子の立場、生活状況の悪化(家事に追われる、生理用品が買えないなど)

・シングルマザーの抱える問題

 

コロナが流行したことにより、今までの子どもの権利が脅かされている課題が顕在化してきた。パンデミックに陥った今、子どもたちの意見が聞かれて、考慮されているか、

見直す必要がある。

 

※書籍の紹介

国連子どもの権利委員会 新型コロナに関する声明をわかりやすく表現した絵本

『子どもの権利と新型コロナ』

 

(写真)

 

コロナ前から苦しい状況にある子どもたちがよりつらい状況になっています。

そのため国は、コロナの影響を少なくするためにいろいろな政策を考える必要があります。その時に、子どもの権利を大切にしよう、といった趣旨のお話です。

 

・・私たちに出来ること・・

“子どもが子どもの権利をテコに出来る事を知らせる”

・子どもの権利について知り、広げる。

・アクションを起こす(差別撲滅、子どものための予算を増やすなど、相談、声をあげられる環境、相談窓口などを設置する。)

・子どもの権利文化を作る。

子どもの権利が守られている状態が当たり前な社会になるように。

 

「コロナ禍だからこそ必要な子どもの居場所」(西野博之さん)

西野さんからは、コロナ禍の子どもの居場所の必要性や、

様々な子どもや親との愛のある関わりについて教えていただきました。

 

西野さんは、

コロナ禍で普段からの社会の問題が顕在化し、

しわ寄せが子どもたちやシングルマザーなど、

マイノリティの方へと拍車がかかっていると仰っていました

西野さんは多くの背景、苦しい経験をした子ども、若者、シングルマザーの方と関った話を聞かせてくださいました。

 

《コロナ禍、子どもが直面している問題》

家に居場所がなく、

親からは暴力を振られ、家から出られず怖い思いをしている子どもたちやコロナ禍以前のような生活が遅れず、ストレスを抱えている子どもがいるのが現状。

 

また、今年の自殺件数は

499件(100人増え・1980年以降最多)で、

小学生14人、中学生146人、高校生339人

 

毎月40人を超える子どもが自殺しています。

 

この自殺の要因として考えられる一つの原因が、

感染対策です。

感染対策が悪いという意味ではなく、

感染対策で人との接触や会話を減らすことが求められていますが、

自死対策としては、孤立を防ぐことだからです。

 

人との繋がりを経て成長していく子どもたちは今、

「人と距離をとる」事を求められています。

そして、孤立し、生きづらさが増えてしまったのです。

 

こんなコロナ禍で人との“つながり”が減ってしまった今、

西野さんは安全でつながりを感じる取り組み、環境を作りました。

 

一つ目が、「子どもゆめ横丁」です。

これは子どもたちが、

「3密を避け・感染対策」を徹底したかたちで行われたお祭りです。

 

人が密集するとコロナ感染のリスクがあるため、全国のお祭りが昨年は中止になりました。

 

しかし、この「子どもゆめ横丁」というのは、

こんな時だからこそ、みんなで感染対策を徹底しながら、

楽しい思い出、つながりを得ようと試みた活動です。

 

子どもたちが自らお店を建設し、

商品も自分たちで作って売る事を成し遂げたそうです。

 

そこに子どもの強さ、凄さを感じた明るく前向きなイベントだったそうです。

 

また、川崎市子ども夢パークのフリースペースが、

コロナ禍の子どもたち・若者・親までを支えました。

 

川崎市子ども夢パークとは、

「川崎市子ども権利に関する条例の具現化」を目指した青少年教育施設です。

 

また、子ども夢パーク内にあるフリースペースえんは、

様々な背景を持つ不登校児童生徒やひきこもりの若者の権利保障を目指して作られた公設民営のフリースペースです。

 

これらの環境は、「なにもしなくていい(勉強や家事など)」ことが保障されています。

 

西野さんによると、

子どものストレスは親によって用意された沢山の“やるべきこと”から来ているそうです。

それは勉強や家事の手伝いなどです。

そんなストレスから解放出来る場所、何もしなくてもいい場所が、

フリースペースえんだそうです。

 

 

フリースペースえんは、子どもたちだけでなく、

シングルマザーや若者など、

幅広い年齢層の方を助け、生活や精神面でも人々の支えになっています。

 

《「コロナ禍に家族やまわりのおとなの知識不足により苦しむLGBTQの子どもたち」(NPO法人ASTA)》

 

ASTAの松岡さん、久保さんからは、

コロナ禍のLGBTQの子どもたちについてのお話ししていただきました。

 

ASTAがLGBTQに対して大切にしている考え方は主に2つ

 

・SOGI(Sexual Orientation and Gender Identity)

性別はだれ一人として同じ人はいないという考え方

 

言い換えると、LGBTQの当事者がどうかではなく、

誰もが持つアイデンティティの事です。

全員異なった性的思考・性自認を持つという価値観を人々が持つことによって、

全ての人の生きやすさに繋がります。

 

・ALLY(アライ)

英語で、“支援者”という意味。

ここでは、LGBTQの味方になりたいと思う人のことを指す。

ALLYが社会に増えることで、

LGBTQがカミングアウトしやすくなる。

そして、カミングアウトしなくても、安心して生活できる。

 

↓ALLYになるための3つのステップ

  • LGBTQのこと、置かれている状況について知る。。
  • 普段の言動に気を付ける。

➡「ホモ」「おかま」といった差別用語を使わない。そして、差別用語を使っている人を注意する。

 

  • LGBTQについて、情報をシェアする。

➡知識の共有、レインボーアイテムを身についける、イベントに参加する

 

※注意

・本人の許可なく、第三者にその人のセクシュアリティを伝えてはいけない。

➡第三者に伝える事でその人の居場所を奪ってしまう可能性もある。

・カミングアウトされたら、共感し、何に困っているのか話を聞き、誰に話しているのか共有可能な範囲を確認。

・あぶり出し禁止

➡誰がLGBTQの当事者なのか、「あの人そうじゃない?」というのは、絶対にしてはいけません。「誰が当事者なのか」ではなく、「だれもが安心して楽しく生活できる場所」にすることを心掛ける。

 

POINT

“本当に大切なのは、人柄”

《「コロナ禍にオンラインで性的搾取を受ける少女たち」(金尻カズナさん NPO法人ぱっぷす代表理事)》

ぱっぷすの金尻さんからは、

オンライン性被害についてお話していただきました。

 

コロナ禍の緊急事態宣言以降、

ネットの使用量が急激に増加しました(NTT東日本より)。

 

それに比例し、ぱっぷすに寄せられるオンライン上の

性被害相談件数も増加したそうです。

 

そもそも性的搾取とは、

「他者の利益のために自信の性的同意が奪われて拡散されてしまうこと」です。

性的同意とは、性的な活動を行う際に結ぶ同意のことです。

 

コロナ禍でこの被害が急激に増加しており、

特に金尻さんが強調して仰っていたのが、

 

“スマホは究極のスパイ道具”だという事です。

 

スマホ一台で、

登頂・盗撮ができ、スマホは極めて有効な盗撮機材であることが言えます。

スマホが無い時代と比べて、きわめて高機能な盗撮機材を誰もが持っているということです。

 

10代の相談者からは特に、スマホにまつわる相談が多いそうです。

内容としては、

・親に迷惑をかけてしまう。

・学校に知られてしまう。

といったものが多いそうです。

 

ここで私たちは意識を変える必要があります。

“性被害を受けてしまった人は100%被害者”だということです。

性被害を受けた被害者は、

自分をせめてしまいがちで、周囲の人に相談できず、

被害から抜け出せない事が多いそうです。

 

このような負のループを終わらせるために、

「被害者は100%悪くない。」という価値観の世の中への浸透です。

 

《まとめ》

私は今回の報告会を通して、

コロナの影響で子どもたちの心身、成長、ぶつかる問題がこれまでとは大きく変化したことに気がつきました。

 

現状のパンデミックの中で、人との交流が制限され、より声が挙げにくく、

問題が発見しづらくなりました。

 

そんな状況だからこそ、

「子どもの権利」が社会から注目されるべきだと心から思います。

 

数年前まで子どもだった私が、

“子どもの目線”に立って、子どもが抱えている問題や苦しみを早期発見してあげることが、助けへの第一歩になるのではないかと思いました。

子どもの権利についての研修や人身売買・児童労働に関する子ども向けの啓発に必要な文房具を配布することができます。

童話や物語の本を5冊購入し、本が傷まないように補強してから図書室に届けることができます。

村の清掃と衛生について学ぶ「ゴミ拾いキャンペーン」を1回開催することができます。