お知らせ
2021年01月27日
1/26 NPOとオンラインプラットフォームで考えるデジタル性暴力の防止
シーライツインターン 栗原 麻衣
特定非営利活動法人 日本NPOセンター主催の「NPOとオンラインプラットフォームで考えるデジタル性暴力の防止」に参加をしました。以下ご報告いたします。
概要
日時 2021年1月26日(火)13:00~15:00
場所 オンライン(zoomウェビナー)
登壇
・北仲 千里さん
(広島大学ハラスメント相談室 准教授/特定非営利活動法人全国女性シェルターネット共同代表)
・金尻カズナさん(特定非営利活動法人ぱっぷす 理事長 )
・藤川 由彦さんLINE株式会社 LINE財団企画室 財団企画チーム マネージャー)
・服部 聡さん(Twitter Japan株式会社 公共政策本部長)
・山口 琢也さんByteDance株式会社 公共政策本部長)
今回のセミナーは以下の内容でした。
・NPOの方によるデジタル性暴力の現状について
・SNSを巡る性暴力問題についての各企業の対策や対応
広島大学の北仲さんによると、デジタル性暴力は以下となります。
画像、映像データの所有をめぐる性暴力やDV
・メッセージのやりとりをめぐるいじめや監視、攻撃ストリーミング
・出会い系アプリをめぐるトラブル、「相談乗ります」詐欺も
・GPS機能によるストーキング
・オフラインのレイプ、ドラッグ など
デジタル性暴力はコロナ禍の影響で、DVをする側(加害者)から逃れにくい状態に陥りやすく、新規相談件数が過去最高を記録しているそうです。そして性暴力は、被害者にとって助けを求めにくい問題でもあり、家族や身近な人に話せないということから性被害に悩み続ける人がいることも事実です。電話相談の存在を知っていても、電話をかけることを躊躇してしまうケースも多く、どのように被害に気づいて支援をするかが問われています。また、実際に助けを求めても、画像を削除されてしまっていて証拠がないという問題もあります。そして、SNSは若者が中心に使うこともあり、その実態がつかめないという問題も持っています。北仲さんによると、最近の若者は仲間からの承認を得るため、自分と相手という個人的なつながりをSNSに求めるそうです。
ぱっぷすの金尻さんのお話では、以下のデジタル性暴力の起こりやすい流れについてご説明がありました。
ここで指摘されていた問題は、被害者側が性的な画像を送りつけられることを前もって断ることができないということです。
金尻さんは
この2つについて子どもたちや被害に遭いやすい女性に認識してほしいとお話されていました。
続いて性暴力に対して各企業は実際にどのような対応を行っているのかについてです。性的な画像や動画の送信は匿名性も高く、個人間のやりとりであることから透明性が低いという特徴があります。この問題に対する各企業の取り組みについてまとめていきます。
LINE株式会社
・情報モラル教育
・24時間365日のモニタリング対応
・通報窓口の設置
・年齢情報を用いた機能制限
・本人確認 (同一人物が複数のアカウント作成ができない)
Twitter株式会社
・表示される情報のコントロール(ミュート機能など)
・期間限定の絵文字を活用した啓発キャンペーン(相談先があることを知ってもらう)
・UNESCOと連携 メディア情報リテラシーに関するパンフレット作成
ByteDance株式会社(Tiktok)
・モバイル向けショートムービープラットフォーム
・安全を最優先課題とする
・インフルエンサーによる動画づくり(セシルさん)
性暴力に対する各企業の取り組みを見てみると、相談窓口の存在を被害者に知ってもらうという啓発活動、不適切な画像や動画の送信の制限などに特に力を入れているということがわかりました。また、性暴力の防止のための企業の対応について知ることができ、見えにくい被害を減らすために競合でありながらも企業が協働しているということがわかりました。一方で、いつも使っているSNSには様々な視点からの対策が進みつつもまだまだデジタル性暴力の防止、対応への課題はたくさんあると感じさせられた講座でもありました。実際にスポーツ選手が性被害を訴える、性暴力によって心や体に傷を負った子どもたちや女性は多く存在している。つまり、デジタル上での性暴力を100%防止することはできていないのです。そして、今この瞬間も性暴力に1人で悩んでいる人がいる。それを見逃すことは「他人の権利の侵害を放置していること」(ByteDance株式会社の山口さんより)。つまり性暴力にあった被害者の人権が守られていないということです。そんな社会で私達にはいったい何ができるのだろうか?そんなことを考えさせられた講座でした。
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