お知らせ
2021年05月7日
こんにちは!
シーライツインターン 山方・栗原です。
2021年4月に第4回チャイルドライツ・カフェ
「子どもの権利と子ども参加無料オンラインセミナー」
が開催されました。
↑イベント当日の様子です♪
20:00-20:05 主旨説明
20:05-20:35 子どもの権利と子ども参加について
喜多 明人(子どもの権利条約ネットワーク代表)
20:35-20:50 対談
喜多 明人(子どもの権利条約ネットワーク代表)
甲斐田 万智子(シーライツ代表理事/文京学院大学 教員)
20:50-20:55 質疑応答
20:55-21:00 閉会の挨拶
日時:2021年4月7日(水)
実施方法:オンライン
参加人数:37名
講師:<講師プロフィール>
■喜多 明人: 早稲田大学名誉教授、子どもの権利条約ネットワーク代表、子どもの権利条約総合研究所顧問。広げよう!子どもの権利条約キャンペーン共同代表。著書『子どもの学ぶ権利と多様な学び:誰もが安心して学べる社会へ』(エイデル研究所)、『子どもの権利 〜次世代につなぐ』(エイデル研究所)、監修書「子どもへのハラスメント」(PHP研究所・編集ドリム社、2021)、「きみはどう考える?人権てなんだろう」全3巻(汐文社・編集童夢、2021)など多数。
■甲斐田 万智子:
NPO法人国際子ども権利センター(C-Rights)代表理事。文京学院大学教員。広げよう!子どもの権利条約キャンペーン共同代表。編著『世界中の子どもの権利をまもる30の方法』(合同出版)、共著『SDGsと開発教育 持続可能な開発目標のための学び』(学文社)、共編著『小さな民のグローバル学:共生の思想と実践を求めて』(上智大学出版)共著『対人援助のためのコミュニケーション学:実践を通じた学際的アプローチ』(文京学院大学総合研究所)ほか。
カフェ後半で行われた喜多さん・甲斐田代表による対談の内容をご報告いたします。
1.子ども参加とは、「育ち」や「生き方」での参加を促すこと
2.子どもの権利条約も、子どもの参加が深く関わっている
3.子ども参加=子どもと大人が共に生きる
喜多さんの子ども参加に携わるきっかけは、
喜多さんの子ども時代の経験だそうです。
喜多さんは子ども時代、親や教師に歯向わない子どもだったそうです。
しかし、学生時代の経験から「自分で自分の生き方をきめてもいいんだ!」と気づいた経験から、子どもは「教えられえて育つのではなく、自分で決めて育つべき」だと思ったのが、子ども参加に携わるきっかけになったそうです。
《子どもの権利条約の観点から子ども参加について》
1988年、国連が作ったグリフィンキット(条約を分かりやすく説明したリーフレット)
を見てみると、
「生存や発達に良いものを称賛し、悪いものを子どもが判断することが必要」と書かれているそうです。それは従来の子どもの権利とは異なる部分で、子ども参加と呼ばれたそうです。
喜多さんは、子どもの権利条約は「黒船論」だとおっしゃっていました。
それはつまり、今までなかったものが日本に入ってくるという意味で、黒船論というそうです。喜多さんが伝えたいことは、「参加を能動的な活動とするのではなく、子どもの参加は権利であり、子どもの意思決定を社会に共有すべき」という事です。
日本では大人の立場があまりにも強すぎると喜多さんは感じているそうです。
特に教育分野ではイニシアティブを子どもに渡すことがなかなか出来ていないと仰っていました。
だからこそ、子ども基本法が大切だと喜多さんは仰っていました。
「子どもの参加機会を国レベルで整えるべき」で、
子どもの基本条約が日本で浸透していないのは、学校に大きな原因があるそうです。
子どもの権利条約について、学校で教えないのは、憲法に違反していることであり、
日本はより「子どもの権利条約」について広報する必要があると喜多さんは仰っていました。
子どもも大人も同じ人間であり、今を共に生きているという理解をすることがまず大切だと喜多さんは仰っていました。
子ども参加の妨げとなっているのは、「大人優先社会」が原因だそうです。
「あなたはわがままね。」や「~しなさい。」という言葉で、子どもの意見を封じているのか、今一度見直す必要があるそうです。
喜多さんは、川崎市子どもの権利条約作成に当たって、座長を務めたそうです。
その際に以下の文言をいれるか大変悩んだそうです。
「子どもは大人と共に社会構成を担うパートナーである。子どもは現在の社会の一員として、また、未来の社会の担い手として、社会の在り方や形成にかかわる固有の役割があるとともに、そこに参加する権利がある。」
喜多さんはこの文言を入れる事によって、子どもが参加しやすくないか、葛藤したそうです。
また、条例検討委員会子ども委員の発言で、
「おとなの皆さんにお願いがあります。子どもの意見を聞いてあげるという態度を止めてもらえませんか」という声が上がったそうです。
このことから喜多さんは、子ども達に足りないのは参加する力ではなく、
参加する機会だと感じたそうです。
現在の日本の課題は、子どもたちには十分な知識があっても、その知識を生かした行動に移す機会がないことだと喜多さんは仰っていました。
子どもたちが社会参加をするためには、参加する機会を私たちが作る事が必要だそうです。
甲斐田代表は子ども参加の事例として、インドでの子ども参加の実践やご自身の経験についてお話してくださりました。
「子どもたちを物乞いに出さないで」と訴えるキャンペーンについてのお話を聞きました。
貧困の状態にある子どもたちはより発言の機会が少ないため、マイノリティの子どもの声を聞くこと、相談する場が大事だと仰っていました。
甲斐田代表も、日本ではあまりにも子どもの参加度が低いと仰っていました。
「本当に子どもの権利の事を考えているのならば、子どもの意見を聞いて、子どもの行動をよく見ることが大事」だそうです。
世界中で起こる、いじめや虐待も、「子どもは100%悪くない」ということ、
子どもの拠り所になるのが、子どもの権利条約でなくてはならないとお話していました。
私がこのカフェで特に印象に残ったことは、子どもたち自身が主体になるということです。
喜多さんのお話の中で、不登校になった子どもたちを怒るということはしないというお話もありました。今の時代は学校にいくということ以外にも、学ぶことができる環境は整いつつあります。だからこそ、子ども自身の選択を尊重する。不登校と聞くと、マイナスなイメージを持ったり、親は嫌がる子どもを無理に学校に行かせようとしたりしてしまう。でも、子どもの権利、子どもを主体に考えると無理強いをすること、他の子どもとは違うというレッテルを張るのはおかしい。また、自分の子どもの将来をどのようにするのか、と考えるときなど、親や大人だけではなく子ども自身も自分の意見を言うことができる参加の権利を大切にするということが大切だと学びました。全ての子どもたちに参加をする機会を作る。どれだけ子どもたちの参加をするハードルを下げることができるか?大人たちの行動が問われるところなのではないでしょうか。
子ども主体、子どもの参加の権利を守るために大人ができることは何なのか?そのためには、まず子どもたちの意見を聞くということが大切だと思います。どんなことを思っているのか、どんな考えがあるのか。でも、ただ聞いて終わりではない。子どもたちの行動をよく見て、そこからどれだけ子どもたちに寄り添うことができるか?意見を聞く、行動を見る。そして寄り添う。子どもの権利を守るためにもそんな接し方のできる大人の存在が多くの問題を抱える子どもたちに求められているのではないかと思います。
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